建設分野の特定技能3区分と仕事の範囲を行政書士が解説

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建設分野の特定技能では、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの業務区分が設けられています。特定技能外国人が従事できる仕事の範囲を判断するには、その外国人について認定を受けている業務区分と、実際に担当する仕事の内容を照らし合わせる必要があります。

この記事では、特定技能1号を中心に、3つの業務区分の意味と、それぞれでどのような仕事に従事できるのかを説明します。また、主な業務に付随して行うことができる関連業務、技能検定、建設業許可の業種との関係についても整理します。

仕事の範囲は業務区分から考える

建設分野では、2022年8月に従来の19区分が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分へ統合されました。現在の業務区分や試験との関係、各区分で従事できる業務については、国土交通省の「概要、関係資料【特定技能制度(建設分野)】」で公表されています。

特定技能1号になるためには、建設分野特定技能1号評価試験や技能検定3級などによって必要な技能水準を満たします。そのうえで、実際に仕事を任せる際には、試験の名称だけを見るのではなく、「土木」「建築」「ライフライン・設備」のどの業務区分で認定を受けているのかを見ることが重要です。

なお、技能試験や日本語能力など、外国人本人が特定技能1号になるための要件については、建設分野の特定技能1号になるための要件を行政書士が解説で詳しく説明しています。

また、この記事では主に特定技能1号を取り上げます。特定技能2号も同じ3つの業務区分ですが、1号が指導者の指示・監督を受けながら作業に従事するのに対し、2号は複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する点が異なります。

土木、建築、ライフライン・設備の3区分

まずは、3つの業務区分がどのように定められているのかを確認しておきましょう。

特定技能の業務区分は、一定の工事を行うために必要な知識や経験をもとに、共通する技能が認められる作業を区分したものです。「土木」「建築」「ライフライン・設備」は、建設業許可の29業種を単純に3つへ振り分けたものではありません。

また、業務区分は作業の性質による分類であり、作業現場の種類による分類ではありません。そのため、認定を受けた業務区分に含まれる工事や作業であれば、現場の種類を問わず従事できます。国土交通省も、この考え方を図で示しています。

国土交通省・法務省の「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領―建設分野の基準について」では、特定技能1号の「土木」「建築」「ライフライン・設備」について、それぞれ従事できる業務内容が具体的に示されています。

このうち、土木は別表6-2、建築は別表6-3、ライフライン・設備は別表6-4に、主な業務内容や付随して行うことができる関連業務が整理されています。

 

出典:国土交通省「建設分野の特定技能に係る業務区分の再編について」をもとに作成

土木区分の仕事

土木区分は、指導者の指示・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事する区分です。国土交通省の別表6-2では、主な業務内容として、型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工が挙げられています。

ただし、ここに列挙された作業だけに限定されるわけではありません。別表では「その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業」も主な業務内容に含められています。実際に仕事を任せる場合には、その作業が土木施設に係る業務として土木区分に含まれるかを検討していくことになります。

建築区分の仕事

建築区分は、指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替に係る作業等に従事する区分です。

主な業務内容には、型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土工、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱などが挙げられています。

また、これらの作業のほか、建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替に係る作業も対象とされています。そのため、建築区分の範囲を判断するときも、職種名だけではなく、実際に建築物についてどのような作業を行うのかを見ることが大切です。

ライフライン・設備区分の仕事

ライフライン・設備区分は、指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更または修理に係る作業等に従事する区分です。

主な業務内容としては、電気通信、配管、建築板金、保温保冷が挙げられています。また、その他のライフライン・設備の整備・設置、変更または修理に係る作業も対象です。

ライフライン・設備の作業には、電気通信、ガス、水道、電気などをネットワークとして整備、変更、修理する作業と、住宅などの付帯設備として設置・接続する作業があり、いずれの作業にも従事できます。

例えば、「建築現場で作業するから建築区分」と判断するものではありません。建築物の中で行う仕事であっても、実際に担当するのが電気や配管などのライフライン・設備に係る業務であれば、仕事内容に応じて業務区分を考える必要があります。

主な業務に付随する仕事にも従事できる

建設現場では、専門的な作業だけを続けて行うわけではありません。資材を運んだり、工具を管理したり、作業前の準備や作業後の片付けを行ったりすることもあります。

国土交通省の運用要領では、特定技能外国人が主たる業務に加えて、その業務に従事する日本人が通常行う関連業務に付随的に従事することを認めています。関連業務の例として、作業準備、運搬、片付けのような、試験等によって専門性を判定しない業務が示されています。

同じ運用要領の別表6-2から6-4では、原材料や部品の調達・搬送、機器・装置・工具等の保守管理のほか、足場の組立てや設備の掘り起こしなどの後工程の準備、足場の解体や設備の埋め戻しなどの前工程の片付け、清掃・保守管理作業などが想定されています。

そのため、特定技能外国人に資材の運搬や現場の片付けを一切任せられないということではありません。ただし、関連業務はあくまで主たる業務に付随して行うものであり、関連業務だけに専ら従事させることは認められていません。

例えば、建築区分の外国人を雇用しながら、継続的に資材運搬や清掃だけを担当させるといった働かせ方は避ける必要があります。担当する仕事全体を見て、その外国人が認定を受けた業務区分の主たる業務に従事していることが前提となります。

技能検定と業務区分との関係は一対一ではない

特定技能1号の技能水準を満たす方法の1つに、技能検定3級があります。しかし、技能検定の職種名と、特定技能の業務区分や実際に任せられる工事が、そのまま一対一で対応しているわけではありません。

例えば、技能検定3級の「とび」は、特定技能1号の「土木」と「建築」の双方の技能水準として位置付けられています。また、「建築板金」も「建築」と「ライフライン・設備」の双方に位置付けられています。業務区分と試験等との対応関係は、国土交通省の制度ページから別表6-1を見ることができますのでご参照ください。

したがって、「とびの技能検定に合格したから、とび工事だけを担当できる」といった形で、技能検定の職種名から直接仕事の範囲を決めることはできません。

まず、試験や技能実習等によってどの業務区分の技能水準を満たすのかを整理し、そのうえで、実際に認定を受けた業務区分と担当する仕事を照らし合わせる必要があります。

業務区分と建設業許可業種の関係

建設会社にとって特に混同しやすいのが、特定技能の3つの業務区分と建設業許可の業種との関係です。

「土木」「建築」「ライフライン・設備」は、建設業法上の許可業種をそのまま3つに分類したものではありません。一方、実際に任せる工事については、その工事の建設業許可業種と、外国人について認定を受けている業務区分との対応を見る必要があります。

国土交通省は「特定技能業務区分-建設業許可 対応表」を公表しており、ある業務区分の認定を受けた場合、その区分の列に「〇」が付いた種類の建設業の工事に従事させることができるとしています。

この対応も一対一ではありません。1つの建設業の種類について複数の業務区分が対応する場合があり、その場合には、いずれかまたは双方の業務区分を選択して認定を受ける仕組みです。

そのため、自社が持っている建設業許可の業種だけを見て、「この特定技能外国人にはこの仕事を任せられる」と判断するのではなく、外国人の業務区分と実際の工事内容を合わせて見極めることが必要です。

仕事を任せるときの判断手順

特定技能1号外国人に仕事を任せるときは、まず認定を受けている業務区分を把握し、そのうえで実際に担当する作業がその区分の範囲に含まれるかを確認します。

また、採用後に担当する職種や作業を広げる場合には、建設特定技能受入計画や雇用契約との関係にも注意が必要です。

業務区分と実際に任せる仕事を照らし合わせる

まず、その外国人について認定を受けている業務区分を把握します。建設特定技能受入計画認定証の別紙には、外国人ごとの業務区分が記載されています。

また、受入企業が元請企業に提出する「1号特定技能外国人建設現場入場届出書」にも業務区分の記載欄があり、建設特定技能受入計画の内容を正確に転記することとされています。届出書には、建設特定技能受入計画認定証の別紙を含む関係書類を添付する仕組みです。

次に、実際に外国人へ任せる作業を検討します。土木・建築・ライフライン・設備のそれぞれについて、国土交通省の運用要領に定められた業務内容に当てはまるかを見ていきます。

資材運搬や準備、片付けなどを任せる場合には、それが主たる業務に付随する関連業務として行われているかを確認することも必要です。

最後に、その工事の建設業許可業種と、外国人が認定を受けている業務区分との対応を確認します。つまり、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 業務区分を把握する
  2.  実際に任せる作業を検討する
  3. 関連業務であれば主たる業務との関係を確認する
  4.  建設業許可業種との対応を確認する

認定計画にない仕事を任せる場合

認定を受けた建設特定技能受入計画に記載されていない職種や作業へ仕事の範囲を広げる場合には、単に社内で担当業務を変更すればよいわけではありません。

変更後の業務について同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬となるよう対応し、その内容を反映した雇用契約を締結したうえで、外国人就労管理システムを通じて国土交通省への手続きが必要となります。

また、2022年8月の業務区分統合前から特定技能1号で在留している外国人については、国土交通省が旧区分から新しい3区分への読み替え表を公表しています。以前から受け入れている外国人の業務区分を見る場合には、この読み替えにも注意が必要です。

なお、特定技能外国人を受け入れる会社には、建設業許可、建設キャリアアップシステムへの登録、JACへの加入、建設特定技能受入計画の認定など、仕事内容とは別の受入条件もあります。

会社側の条件や採用から就労開始までの手続きについては、「建設会社が外国人を雇用する条件と手続きを解説」をご覧ください。

まとめ:仕事の範囲に迷ったら事前に確認する

特定技能外国人に任せる仕事は、会社の業務内容や外国人が認定を受けている業務区分によって判断する必要があります。特採用後に担当する仕事を広げる場合や、複数の業務区分に関係する作業を行わせる場合は、受入計画や雇用契約との関係を確認することも重要です。

当事務所では、建設分野の特定技能外国人の受入れについて、建設特定技能受入計画をはじめとする手続きのご相談を承っています。「この仕事を任せてもよいのか」「現在の受入計画のままで業務を変更できるのか」など、判断に迷う場合はどうぞお気軽にご相談ください。

 

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