
上下水道工事は、施工する管や施設の種類によって、管工事、水道施設工事、土木一式工事に区分されます。
上水道では、配水小管の設置工事は管工事、水道本管の埋設工事は水道施設工事として扱われます。一方、公道下等の下水道の配管工事は、土木一式工事に該当します。
このように、同じような管を埋設する工事でも、施工対象によって建設業許可上の業種は異なります。この記事では、上下水道工事について、管工事、水道施設工事、土木一式工事をどのように区分するのかを具体的に解説します。
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上下水道工事は工事内容によって許可業種が異なる
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」では、上下水道に関する施設の建設工事について、管工事、水道施設工事、土木一式工事の区分が示されています。主な工事の区分は次のとおりです。
| 施工内容 | 該当する業種 |
|---|---|
| 家屋その他の施設の敷地内の配管 | 管工事 |
| 上水道等の配水小管の設置 | 管工事 |
| 水道本管の埋設 | 通常は水道施設工事 |
| 公道下等の下水道の配管 | 土木一式工事 |
| 上水道等の取水・浄水・配水施設 | 水道施設工事 |
| 下水処理場内の処理設備 | 水道施設工事 |
| 下水処理場自体の敷地造成 | 土木一式工事 |
(出典:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」をもとに作成)
この図のように、道路下に管を埋設する工事であっても、上水道の配水小管と公道下等の下水道管では業種が異なります。施工場所だけではなく、施工する管や施設の種類まで確認する必要があります。
なお、上下水道に関係する工事であっても、個別の電気設備や機械設備などは別の専門工事に該当する場合があります。さらに、農業用水道やかんがい用排水施設等の建設工事は、名称に「水道」が含まれていても水道施設工事ではなく、土木一式工事に該当します。
あわせて、建設業許可が必要となるかについては軽微な建設工事の基準があり、主たる工事に伴う他業種の工事が附帯工事に該当する場合もあります。
※ 業種区分全体の考え方については、「建設業許可29業種の工事区分と業種判定を行政書士が解説」の記事もあわせてご確認ください。
管工事に該当する上下水道工事はどこまでか
管工事に該当する範囲は、家屋その他の施設の敷地内に設置する給排水の配管だけではありません。上水道等の配水小管を設置する工事も管工事に含まれます。
特に注意したいのは、道路下にある水道管であっても管工事になる場合があることです。水道管を道路下に埋設するという作業だけでは、水道施設工事と管工事を区別することはできません。
敷地内の給排水配管は管工事に該当する
建設業許可事務ガイドラインでは、家屋その他の施設の敷地内の配管工事を管工事としています。住宅や店舗、工場などの敷地内で行う給水管や排水管の配管は、この区分に該当します。
例えば、建物から公共下水道へ接続する排水管であっても、家屋等の敷地内に設置する部分は管工事です。公道下等に設置される下水道管とは業種が異なるため、排水管であることだけを理由に、土木一式工事として扱うことはできません。
上水道の配水小管も管工事に該当する
管工事に該当するのは敷地内の配管だけではありません。建設業許可事務ガイドラインでは、上水道等の配水小管を設置する工事も管工事として明示されています。
そのため、道路下に水道管を埋設する工事であっても、施工するものが配水小管であれば管工事に該当します。一方、水道本管埋設工事は通常、水道施設工事となるため、上水道の管路工事では本管と配水小管の区分が重要になります。
上水道本管は通常水道施設工事に該当する
建設業許可事務ガイドラインでは、工事経歴書の取扱いについて「水道本管埋設工事の場合は、通常、水道施設工事に該当する」とされています。また、上水道等の取水、浄水、配水等の施設を築造・設置する工事も水道施設工事に区分されています。
ここで混同しやすいのが、「配水施設」と「配水小管」です。配水に関する施設を築造・設置する工事は水道施設工事ですが、配水小管を設置する工事については管工事として明確に区分されています。
ただし、建設業許可事務ガイドラインでは、本管と配水小管について口径によって許可業種を区分する基準は示されていません。そのため、管の太さだけで判断するのではなく、設計図書や発注仕様書などから、その管が本管か配水小管かを確認する必要があります。
また、水道本管埋設工事が必ず水道施設工事になるわけではありません。道路の大規模な改修等と複合しており、工事全体を土木一式工事とみなし得る場合には、土木一式工事として計上することが認められています。
下水道工事は施工内容によって業種が異なる
下水道については、敷地内の排水配管は前述したとおり管工事ですが、公道下等の下水道管になると土木一式工事に区分されます。また、下水処理場では、処理設備を施工するのか、敷地を造成するのかによっても業種が異なります。
このように、下水道工事では「下水道」という名称だけで判断せず、施工する対象によって業種を確認する必要があります。
公道下の下水道管は土木一式工事に該当する
建設業許可事務ガイドラインでは、公道下等の下水道の配管工事を土木一式工事としています。上水道の配水小管は管工事であるのに対して、公道下等の下水道管は土木一式工事となります。
例えば、舗装された道路を掘削し、管を埋設して埋め戻すという施工方法は、上水道でも下水道でも似ています。しかし、建設業許可上は、上水道の配水小管の設置工事は管工事、公道下等の下水道の配管工事は土木一式工事に区分されます。
したがって、施工方法だけではなく、施工する管の種類を確認して業種を判断する必要があります。
また、この区分は、工事経歴書を作成するときにも重要です。工事名だけで振り分けるのではなく、契約書や設計図書、工事内訳などから実際の施工内容を確認する必要があります。
なお、下水処理場内の処理設備を築造・設置する工事は、水道施設工事に該当します。さらに、浄化槽(合併処理槽を含む。)によってし尿を処理する施設の建設工事は、規模にかかわらず管工事に該当します。
同じように汚水を処理する設備でも、施工する施設によって建設業許可上の業種が異なることには注意が必要です。
工事経歴書や福島県の入札参加資格でも業種区分に注意する
上下水道工事の業種判定は、建設業許可を取得するときだけでなく、毎事業年度終了後に提出する工事経歴書や経営事項審査にも関係します。
また、福島県の建設工事の入札参加資格では、建設業許可の29業種とは別に18の工事種別が設けられています。そのため、公共工事への入札を予定している建設業者は、建設業許可上の業種と福島県の工事種別を区別して確認する必要があります。
水道本管埋設工事は複数業種へ二重計上できない
ガイドライン上、水道本管埋設工事は通常、水道施設工事として扱いますが、道路の大規模な改修等と複合し、土木一式工事とみなし得る場合には、土木一式工事として計上することも可能です。
ただし、この場合でも同じ工事を水道施設工事と土木一式工事の両方に計上することはできません。建設業許可事務ガイドラインでは、この点も工事経歴書の取扱いとして明記されています。
工事経歴書にどの業種として記載するかは、経営事項審査の工事種類別完成工事高にもつながります。そのため、水道本管を含む工事については、契約書や設計図書、工事内訳などから工事全体の内容を確認したうえで計上する必要があります。
福島県では許可業種と18工事種別の対応にも注意する
福島県の「工事等入札参加資格審査申請の手引き-令和9・10年度入札参加資格用- 5 参考資料」に収録された別表2では、18工事種別と建設業許可29業種との対応が示されています。
例えば、上水道本管埋設は水道施設工事業に対応し、福島県の18工事種別では「上下水道工事」に区分されています。一方、公道下の下水道本管埋設も工事種別は「上下水道工事」ですが、対応する建設業許可は土木工事業です。
一方、配水小管工事は管工事業に該当しますが、福島県の工事種別では「上下水道工事」ではなく「暖冷房衛生設備工事」に対応しています。つまり、建設業許可上の業種名と福島県の工事種別名は、必ずしも一致するわけではありません。
公共工事への入札を予定している場合には、まず施工内容から建設業許可上の業種を確認し、そのうえで経営事項審査の完成工事高と福島県の18工事種別との対応を確認することが必要です。
まとめ:業種の区別はガイドラインに基づき判断する
建設工事の業種判断は、日常的な工事の呼び方や業界内の認識と、建設業許可事務ガイドライン上の区分が一致しないことがあります。入札や工事実績の確認の際に業種区分を指摘されることがないよう、日頃から施工内容と該当する業種を確認しておくことが重要です。





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行政書士 佐藤勇太
