経営事項審査の自己資本額と平均利益額を行政書士が解説

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経営事項審査のX2は、自己資本額と平均利益額から経営規模を評価するものです。自己資本額は基準決算と2期平均を選択でき、平均利益額は営業利益と減価償却実施額の2期平均で算出します。

この記事では、決算書のどの数値が評価につながるのか、赤字・債務超過の場合や総合評定値Pへの影響も含めて行政書士が解説します。

X2は自己資本額と平均利益額を評価する

経営事項審査(経審)では、完成工事高、財務状況、技術力、社会性などを数値化し、最終的に総合評定値Pを算出します。このうち経営規模を評価するXは、完成工事高を評価するX1と、自己資本額・平均利益額を評価するX2に分かれています。

X1は工事種類ごとの完成工事高を評価する一方、X2は会社全体の財務上の数値を基に算出します。X1については、経営事項審査の完成工事高と業種間積み上げを解説で詳しく説明しています。

X2は、自己資本額から求める評点X21と、平均利益額から求める評点X22を平均して算出します。総合評定値Pに占めるウェイトは15%で、現在の評点範囲は最高2,280点、最低454点です。

X2=(自己資本額評点X21+平均利益額評点X22)÷2

したがって、X2が100点変われば、他の審査項目が同じであれば総合評定値Pにはおおむね15点の差が生じます。

自己資本額は基準決算と2期平均を選択できる

自己資本額には、審査基準日の決算である「基準決算」の額を使用する方法と、基準決算と直前の審査基準日の自己資本額を平均する方法があります。どちらを使用するかは申請者が選択できます。

そのため、経審を受ける際には直近の決算だけで判断せず、前期の自己資本額も調べて比較することが重要です。

自己資本額は貸借対照表の純資産合計が基本となる

法人の場合、X2で評価される自己資本額は、原則として貸借対照表に記載された純資産合計が基本となります。資本金だけを評価するのではなく、資本剰余金や利益剰余金などを含む純資産全体が対象です。

そのため、自社の自己資本額を把握する際には、まず貸借対照表の「純資産合計」を調べます。個人事業主は法人とは財務諸表の様式が異なりますが、個人用の建設業財務諸表に基づいて自己資本額を算定します。

一定の資本性借入金は自己資本に加算できる

資本性借入金とは、金融機関などからの借入金のうち、返済期間や返済順位などの条件から、通常の借入金より自己資本に近い性質を持つものです。

令和7年7月1日以降は、一定の要件を満たす資本性借入金について、経審上の自己資本として扱うことができます。対象となる金額は、経営状況分析では負債から控除して自己資本に加算し、経営規模等評価でもX2の自己資本額に加算します。

ただし、すべての借入金を自己資本に加算できるわけではありません。償還期間、返済方法、金利、法的破綻時の返済順位などについて要件があり、申請時には資本性借入金に該当することを示す書類も必要です。

債務超過でも2期平均を比較する

自己資本額は、基準決算の額と、基準決算と前期の2期平均額のいずれかを選択できます。どちらの額が大きくなるかは、前期からの自己資本額の増減によって異なります。

例1 例2
基準決算の自己資本額 2,500万円 1,000万円
前期の自己資本額 1,500万円 3,000万円
2期平均 2,000万円 2,000万円
金額が大きい方 基準決算 2期平均

例1では基準決算の2,500万円を使用する方が有利ですが、例2では2期平均の2,000万円を使用する方が自己資本額は大きくなります。

自己資本額が前期から減少している会社では、2期平均を選択することで基準決算より大きな金額で評価を受けられることがあります。

また、基準決算の自己資本額がマイナスとなる債務超過の場合でも、前期の自己資本額がプラスであれば、2期平均がプラスになることがあります。自己資本額が0円未満の場合は0円として評点計算されますが、自己資本額評点X21自体が0点になるわけではありません。

平均利益額は営業利益と減価償却実施額から算出する

X2のもう1つの評価項目が平均利益額です。ここでいう利益額は決算書の当期純利益や経常利益ではなく、「利払前税引前償却前利益」という経審独自の基準によって算出します。

国土交通省の取扱いでは、利払前税引前償却前利益は次の算式によります。さらに、この金額を当期と前期について計算し、2期平均した金額が平均利益額となります。

利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却実施額

自己資本額は基準決算と2期平均を選択できますが、平均利益額は2期平均で評価する点が大きな違いです。

営業利益と減価償却実施額をどこから把握するか

営業利益は、建設業財務諸表の損益計算書に記載された営業利益または営業損失の額を使用します。一方、減価償却実施額は、販売費及び一般管理費に記載された減価償却費だけを拾えばよいわけではありません。

国土交通省の取扱いでは、未成工事支出金、販売費及び一般管理費、完成工事原価、兼業事業売上原価などに係る減価償却費として費用計上した額を合計します。

重機や車両、機械設備などを使用している建設会社では、完成工事原価に減価償却費が含まれていることもあるため注意が必要です。

法人では、法人税申告書の別表16(一)、(二)等に計上された額も基にして減価償却実施額を把握します。国土交通省の現行手引きでも、営業利益は損益計算書、減価償却実施額は法人税申告書別表16(一)、(二)等から記入する方法が示されています。

赤字でも平均利益額がマイナスとは限らない

決算書の当期純利益が赤字であっても、X2の平均利益額まで必ずマイナスになるわけではありません。X2では当期純利益ではなく、営業利益に減価償却実施額を加えた金額を使用するためです。

また、評価するのは1期だけの利益額ではありません。当期と前期それぞれの営業利益と減価償却実施額から利払前税引前償却前利益を算出し、その2期平均によって評価します。

2期平均した利益額が0円未満となった場合は、0円として評点計算します。その場合でも平均利益額評点X22そのものが0点になるわけではなく、X2全体についても最低点が設定されています。

福島県の申請では、「経営事項審査申請の手引」に自己資本額と利益額の記載方法が示されています。

なお、登録経営状況分析機関によっては、経営状況分析結果通知書の参考値欄に2期分の営業利益と減価償却実施額が記載されており、利益額を算定する際に利用できます。

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