
経営状況分析Y点は、借入負担が小さく、利益や自己資本を確保し、資金繰りが良好な会社ほど高くなる方向に働きます。
Y点は登録経営状況分析機関が8つの財務指標から算定し、建設業者は、その結果をもとに福島県へ総合評定値Pを請求します。
この記事では、経営状況分析におけるY点が上がる要因と下がる要因を中小建設業者向けに具体的に解説します。
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Y点は登録経営状況分析機関が算定する
経営事項審査のうち、経営状況Yは福島県が算定する項目ではありません。国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関へ申請し、経営状況分析結果通知書の交付を受けることになります。
福島県で経営事項審査を受ける場合は、決算後の変更届を提出した後、先に経営状況分析を受けます。Y点が確定してから、福島県へ経営規模等評価を申請し、総合評定値Pを請求します。
決算後の変更届を提出
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登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請
↓
経営状況分析結果通知書を受領
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福島県へ経営規模等評価を申請・総合評定値Pを請求
どの登録経営状況分析機関でもY点の算定基準は同じ
登録経営状況分析機関は複数ありますが、Y点を構成する8指標や算定方法は国の告示・通知で定められています。同じ財務内容を同じ条件で分析すれば、申請する分析機関によってY点が高くなったり低くなったりする仕組みではありません。
分析機関によって異なるのは、申請料金、申請方法、結果通知までの日数などです。点数の有利・不利ではなく、料金や利用しやすさなどを比較して申請先を選ぶことになります。
Y点は8つの財務指標から会社の経営状況を評価する
Y点は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4分野から構成され、それぞれ2つ、合計8つの指標によって評価されます。
| 評価分野 | 指標 | 有利になる方向 |
|---|---|---|
| 負債抵抗力 | 純支払利息比率 | 低い |
| 負債抵抗力 | 負債回転期間 | 短い |
| 収益性・効率性 | 総資本売上総利益率 | 高い |
| 収益性・効率性 | 売上高経常利益率 | 高い |
| 財務健全性 | 自己資本対固定資産比率 | 高い |
| 財務健全性 | 自己資本比率 | 高い |
| 絶対的力量 | 営業キャッシュフロー | 高い |
| 絶対的力量 | 利益剰余金 | 高い |
純支払利息比率など5指標は割合、負債回転期間は負債が何か月分の売上高に相当するかという期間で評価します。営業キャッシュフローと利益剰余金は、金額を1億円で除した絶対額による評価です。
各指標には評価される範囲が定められています。そのため、1つの指標だけを改善し続けても、その指標の評価が際限なく上がるものではありません。Y点全体の最高点は1,595点、最低点は0点です。
Y点が100点変わると総合評定値Pは20点変わる
経営状況分析で算定されたY点は、そのまま総合評定値Pになるわけではありません。総合評定値Pに占めるYのウェイトは20%で、Pを算定する際にはYに0.20を乗じます。
したがって、他の評点が変わらなければ、Y点が50点上がるとPは10点、Y点が100点上がるとPは20点上がります。Y点の変化が最終的な総合評定値Pにどの程度影響するのかを把握しておくと、Y点の位置づけも分かりやすくなります。
もっとも、総合評定値PはYだけで決まるものではありません。完成工事高、自己資本額、技術力、社会性等も含めて評価されます。
以下では、会社のどのような財務状態が8指標に影響し、結果としてY点を上げたり下げたりするのかを説明します。
借入負担が小さくなるとY点は上がる方向に働く
借入金は、支払利息だけでなく、総資本や自己資本との関係を通じて複数の指標に影響します。
| 会社の状態 | Y点への主な影響 |
|---|---|
| 借入金などの負債が増える | 負債回転期間が長くなる |
| 支払利息が増える | 純支払利息比率が悪化する |
| 借入で総資本が増え、粗利益が変わらない | 総資本売上総利益率が低下する |
| 自己資本が変わらず負債が増える | 自己資本比率が低下する |
負債回転期間は、流動負債と固定負債の合計が何か月分の売上高に相当するかを表します。また、純支払利息比率は、支払利息から受取利息配当金を控除した純支払利息が売上高に対してどの程度あるかを評価します。
したがって、売上や利益を維持しながら借入金や利息の負担を減らせれば、複数の指標が改善する可能性があります。
資本性借入金は通常の借入金と異なる取扱いがある
一定の要件を満たす資本性借入金については、経営状況分析上、所定の額を負債から控除し、自己資本に加算できる取扱いがあります。
Y点では、負債回転期間、自己資本対固定資産比率、自己資本比率の3指標に影響します。また、その経営状況分析結果を使って経営規模等評価を申請する際には、X2の自己資本額にも資本性借入金を反映する手続きが定められています。
詳しい要件は、国土交通省の「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱いについて」で確認できます。
また、自己資本額X2については、「経営事項審査の自己資本額と平均利益額を行政書士が解説」でも説明しています。
利益を確保して会社に残すと複数の指標が改善する
利益は、その期の収益性だけでなく、会社に蓄積することで自己資本や利益剰余金にも影響します。
| 会社の状態 | Y点への主な影響 |
|---|---|
| 売上総利益が増える | 総資本売上総利益率が上がる |
| 経常利益が増える | 売上高経常利益率が上がる |
| 利益を会社に残す | 利益剰余金や自己資本が増える |
| 赤字が続く | 利益剰余金や自己資本が減る |
総資本売上総利益率では、基準決算と直前期の総資本の平均額を使用します。ただし、その平均額が3,000万円未満の場合でも3,000万円として計算するため、総資本の小さい会社が自動的に高い評価になる仕組みではありません。
利益を積み上げて自己資本が増えれば、自己資本比率や自己資本対固定資産比率も改善する方向に働きます。反対に、赤字が続けば収益性だけでなく、利益剰余金や自己資本を通じて財務健全性にも影響が広がります。
個人事業主では一部の数値の扱いが異なります。売上高経常利益率では経常利益に代えて事業主利益を使用し、利益剰余金については純資産合計を使用します。総資本売上総利益率の売上総利益は完成工事総利益とし、兼業事業を営む場合は兼業事業総利益も含めます。
利益が出ていても資金繰りによって評価は変わる
営業キャッシュフローでは、損益計算書上の利益とは別の角度から会社の資金の動きを評価します。
| 会社の状態 | 営業キャッシュフローへの影響 |
|---|---|
| 完成工事未収入金などの売掛債権が増える | 悪化する |
| 未成工事支出金などの棚卸資産が増える | 悪化する |
| 売掛債権の回収が進む | 改善する |
| 減価償却実施額 | 算定上、経常利益に加算 |
経営状況分析の営業キャッシュフローは、経常利益に減価償却実施額を加え、法人税等を控除したうえで、貸倒引当金、売掛債権、仕入債務、棚卸資産、未成工事受入金などの増減を反映して算定します。
このため、利益を計上していても工事代金の回収が進まず、完成工事未収入金などが増えれば、営業キャッシュフローは悪化する方向に働きます。
営業キャッシュフローは当期だけではなく、当期と前審査対象年の2期平均で評価されます。前回よりY点が下がった場合には、利益だけでなく売掛債権や棚卸資産などの増減も調べる必要があります。
Y点を改善するなら次の決算に向けた財務内容が重要
Y点は、原則として決算日である審査基準日を基準とした財務内容から算定されます。そのため、決算後に借入金を返済したり増資したりしても、原則として既に終了した決算のY点には反映されません。
次回のY点を改善したい場合には、次の決算までに借入負担、利益、自己資本、資金繰りなどの財務内容を改善していく必要があります。
もっとも、Y点を上げることだけを目的に財務判断をするのは適切ではありません。例えば、借入金を減らすために手元資金を大きく減らせば、必要な運転資金に影響することがあります。会社の経営に必要な資金を確保したうえで、財務内容の改善を検討することが重要です。
福島県で経営事項審査の申請をご検討の方へ
経営事項審査を受ける場合には、決算後の変更届、登録経営状況分析機関への経営状況分析、福島県への経営規模等評価申請・総合評定値請求を順番に進めます。
当事務所では、決算後の変更届から経営状況分析、福島県への経営事項審査まで一連の手続きに対応しています。詳しくは、「福島県で経営事項審査を受けたいとお考えの方へ」をご覧ください。
主に、二本松市、本宮市、福島市、郡山市を中心とする福島県中通り地域で、経営事項審査の申請をご検討の建設業者様からのご相談を承っています。




事務所横に1台分の駐車場をご用意しております。
行政書士 佐藤勇太
