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当社は元請として建設工事を請け負っており、工事で発生した産業廃棄物の運搬は収集運搬業の許可を持つ下請業者に依頼し、処分場へ搬入しています。
マニフェストは作成していますが、産業廃棄物の処理について別に契約書を作成する必要はありますか。また、契約書は運搬を依頼する業者とだけ締結すればよいのでしょうか。
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産業廃棄物の処理を他の事業者へ委託する場合は、マニフェストとは別に書面による委託契約を締結する必要があります。
収集運搬と処分を別の事業者へ委託する場合、排出事業者である元請業者は、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと契約を締結します。
また、契約する際には、委託する産業廃棄物の種類が各事業者の許可品目に含まれているかなど、許可内容をチェックすることも重要です。
※ 本記事の相談内容は、制度や実務上の論点を分かりやすく説明するために設定した想定事例です。
目次
産業廃棄物の処理を委託する場合は契約書が必要
産業廃棄物の収集運搬や処分を他の事業者へ委託する場合、排出事業者は委託基準に従い、事前に書面で委託契約を締結しなければなりません。マニフェストを使用していても、委託契約書が不要になるわけではありません。
建設工事に伴って発生する廃棄物については、原則として発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者になります。そのため、実際の工事や廃棄物の運搬を下請業者が行っていても、元請業者が排出事業者として適正な処理を行う責任を負います。
この点について、詳しくは、環境省の「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」でも示されています。ご参照ください。
排出事業者は収集運搬業者と処分業者それぞれと契約する
収集運搬と処分を別の事業者へ委託する場合は、排出事業者が収集運搬業者と処分業者のそれぞれと契約を締結します。
今回の相談事例であれば、元請業者が排出事業者となり、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ下請業者へ運搬を委託するのであれば、その業者と収集運搬の委託契約を締結します。それとは別に、産業廃棄物を受け入れる処分業者とも処分の委託契約が必要です。
収集運搬業者に処分先の手配まで任せている場合でも、排出事業者と処分業者との契約が不要になるわけではありません。排出事業者が、それぞれの業者と契約関係を明確にしておく必要があります。
なお、同じ事業者が収集運搬業と処分業の両方の許可を持ち、両方を委託する場合は、必要な事項をすべて記載して一本の契約書とすることもできます。
契約前に委託先の許可内容をチェックする
委託契約書を締結する前に重要になるのが、委託しようとする処理が相手方の許可の範囲に含まれているかという点です。単に「産業廃棄物収集運搬業の許可を持っている」「産業廃棄物処分業の許可を持っている」というだけでは、委託できるとは限りません。
委託する廃棄物の種類が許可品目に含まれているか
産業廃棄物処理業の許可には、取り扱うことのできる産業廃棄物の種類が記載されています。たとえば、建設工事では、がれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずなどが発生します。
排出する廃棄物が「廃プラスチック類」であれば、委託する収集運搬業者や処分業者の許可に廃プラスチック類が含まれていなければなりません。契約書に記載する廃棄物の種類と許可証の品目を照合しておく必要があります。
また、県境を越えて収集運搬する場合は、原則として積込み場所と荷降ろし場所を管轄する都道府県知事の許可が必要です。途中で通過するだけの都道府県の許可は必要ありません。積替え・保管を行う場合などは、政令市の許可が必要となることがあります。
処分業者は処分方法までチェックする
処分を委託するときは、産業廃棄物の種類だけでなく、委託する処分方法が許可内容に含まれているかも重要です。たとえば、同じ「がれき類」を取り扱う処分業者であっても、許可されている処分方法や処理施設は同じとは限りません。
委託契約書には、処分する場所や処分方法なども記載します。契約内容と処分業者の許可内容が一致しているかを照合したうえで委託する必要があります。なお、委託契約書には、委託先の許可証の写しなど、その業者が委託する処理を行えることを示す書面を添付しなければなりません。
委託契約書には法定の記載事項がある
産業廃棄物の委託契約書は、排出事業者と処理業者が自由に内容を決めればよいものではありません。法令によって、契約書に含めなければならない事項が定められています。主な記載事項は次のとおりです。
- 委託する産業廃棄物の種類と数量
- 契約期間
- 委託料金
- 委託先の許可に係る事業の範囲
- 運搬先、処分場所・処分方法、最終処分先
- 廃棄物の性状や荷姿など適正処理に必要な情報
このほかにも、積替え・保管を行う場合の事項や、処理終了時の報告方法、契約を解除した場合の未処理廃棄物の取扱いなど、委託内容に応じて記載しなければならない事項があります。特に、廃棄物の性状や荷姿などの情報は、処理業者が安全かつ適正に処理するために必要です。
契約書のひな形を使用する場合でも、実際に排出する廃棄物と処理方法に合わせて記載する必要があります。
なお、2026年1月からは、化管法上の第一種指定化学物質等取扱事業者が対象となる一定の産業廃棄物について、物質名や量・割合などを契約書で伝達する事項が追加されています。一般的な建設会社の多くは対象になりません。
施行時にすでに締結されていた契約については、契約更新まで従前の取扱いが認められています。また、委託契約書と添付した許可証の写しなどは、契約終了の日から5年間保存しなければなりません。
契約書とマニフェストは役割が異なる
委託契約書を締結したうえで産業廃棄物を実際に引き渡す際には、原則としてマニフェストを交付します。委託契約書は、「どの産業廃棄物を、誰に、どのような条件で運搬・処分してもらうか」を事前に定めるものです。
これに対してマニフェストは、実際に引き渡した産業廃棄物が、委託した内容に従って運搬・処分されたことを排出事業者が把握するための仕組みです。そのため、委託契約書をマニフェストで代用することはできません。
また、両者の内容が食い違わないようにする必要があります。たとえば、委託契約書では「がれき類」だけを委託しているにもかかわらず、その契約に基づいて廃プラスチック類を引き渡すことは適切ではありません。
新たな種類の産業廃棄物を委託する場合は、契約内容と委託先の許可内容を改めて検討する必要があります。
マニフェストの交付方法や処理終了後の管理については、「建設業者の産業廃棄物マニフェスト管理を行政書士が解説」で詳しく説明しています。
契約書を締結しないと委託基準違反になる
産業廃棄物の処理を委託しながら、法令に従った委託契約を締結していない場合は、廃棄物処理法の委託基準違反になります。
契約書そのものがない場合だけではなく、委託する廃棄物の種類や処分方法が処理業者の許可に係る事業の範囲に含まれていない場合や、適正処理に必要な情報を伝えていない場合なども委託基準違反となることがあります。
委託基準に違反して産業廃棄物の処理を他人に委託した場合には、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象となります。
一方、収集運搬業や処分業の許可が必要であるにもかかわらず、その許可を持たない事業者へ産業廃棄物の処理を委託した場合は、より重い罰則が定められており、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象となります。
産業廃棄物の処理を業者へ委託する際は、相手方が必要な許可を取得しているかだけでなく、委託する廃棄物の種類や処理方法が許可の範囲に含まれているかまでチェックする必要があります。そして、実際の処理が適切に行われているかについては、マニフェストによって確認することになります。
福島県では更新時に契約書もチェックされる
少なくとも当事務所が把握している現時点の福島県の実務では、産業廃棄物収集運搬業などの許可更新時に県の担当者が事務所を訪問し、委託契約書を含む関係書類をチェックしています。
これは排出事業者の許可更新ではなく、産業廃棄物処理業者側の更新実務ですが、委託契約書が実際の廃棄物処理の中で重要な書類として扱われていることが分かります。
排出事業者についても、契約書を締結した後は、委託する廃棄物の種類や処理先が変わっていないか、委託先の許可が有効であるかなどを把握し、実際の処理内容に合った契約書を保存しておく必要があります。




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行政書士 佐藤勇太
