
2026年6月5日、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が公布されました。この法律は、使用済み太陽光パネルの収集運搬、中間処理、再資源化に関わる事業者の今後の事業計画に大きく関係します。
新法では、国が再資源化等の事業計画を認定し、その計画に従って行う収集運搬や処分について、廃棄物処理法上の業許可を不要とする制度が設けられました。従来の許可制度に加えて、国の認定を受けた計画に基づいて事業を行う新たなルートが設けられます。
ただし、2026年8月5日現在、認定制度を含む法律の中心部分である本則は、まだ施行されていません。この記事では、認定制度と許可特例、処理施設を設置する場合に残る手続、施行前に検討できる事項を解説します。
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新法の大部分は未施行で政省令も未制定
新法の施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲内において、政令で定める日とされています。しかし、2026年8月5日現在、具体的な施行日はまだ示されていません。
また、対象となる太陽電池の範囲、認定申請の方法、認定基準、認定事業における収集運搬や処分の基準なども、今後の政令や主務省令で具体化されます。現時点では、制度の基本的な枠組みが法律で示された段階です。
法律や今後の関連資料は、環境省の太陽光パネルリサイクル関連ページで公表されています。参入を検討する事業者は、政省令や申請要領の公表状況を継続して観察していく必要があります。
新法の対象となる太陽電池廃棄物
新法は、一定の太陽電池が廃棄物となったものを「太陽電池廃棄物」として対象にしています。ただし、対象となる太陽電池の重量や種類は政令で定められるため、すべての使用済み太陽光パネルや取り外された部材が一律に対象となるわけではありません。
したがって、自社が受け入れようとする使用済み太陽光パネルが新法の対象となるかは、今後制定される政令を踏まえて判断することになります。現時点では、対象範囲を確定的に説明できる段階ではありません。
国が再資源化等の事業計画を認定する仕組み
新法の対象となる太陽電池廃棄物の処理が、国の認定制度だけに一本化されたわけではありません。認定取得は義務ではなく、施行後も従来の廃棄物処理法上の許可に基づいて処理できます。
そのうえで新法は、収集区域、収集運搬、処分、再資源化、使用する施設、委託先などを含む事業全体について、国の認定を受ける制度を設けました。個別の処理施設だけを認定するのではなく、収集から再資源化までの事業計画を一体として認定する仕組みです。
認定を申請できる事業者
太陽電池廃棄物の再資源化等事業を行おうとする者は、事業計画を作成し、環境大臣と経済産業大臣の認定を申請できます。
申請者が、収集運搬から処分、再資源化までのすべてを自ら行う必要はありません。事業全体を計画する者が申請者となり、他の収集運搬業者、中間処理業者、再資源化事業者と連携する形も認められています。
認定基準と認定後の変更
認定は、申請すれば自動的に受けられるものではありません。事業内容が国の基本方針に適合すること、適正処理と資源の有効利用に資すること、申請者や委託先の能力、使用する施設などが基準に適合することが必要です。
また、認定後は認定計画に従って事業を行わなければなりません。計画内容を変更する場合には、変更認定または届出が必要となり、報告徴収や立入検査の対象にもなります。
認定事業では収集運搬業・処分業許可が不要になる
認定制度の大きな特徴は、認定計画に従って太陽電池廃棄物を収集運搬または処分する場合に、自治体から受ける廃棄物処理業許可が不要となることです。
使用済み太陽光パネルは、発電設備の撤去工事などに伴って排出される場合、通常は産業廃棄物に該当します。一方、施工を伴わない独立型の太陽電池モジュールなどが家庭から排出される場合には、一般廃棄物に該当することがあります。
認定計画に従って行う事業では、次の許可が不要となります。
- 一般廃棄物収集運搬業の許可(廃棄物処理法第7条第1項)
- 一般廃棄物処分業の許可(同条第6項)
- 産業廃棄物収集運搬業の許可(廃棄物処理法第14条第1項)
- 産業廃棄物処分業の許可(同条第6項)
廃棄物処理法上、中間処理は「処分」に含まれます。そのため、認定計画に従って使用済み太陽光パネルの破砕などの中間処理を行う場合には、産業廃棄物処分業許可の特例(許可不要)が適用されます。
特例は認定計画の範囲に限られる
認定を受けた事業者が行う廃棄物処理のすべてについて、業許可が不要になるわけではありません。特例が適用されるのは、認定計画に従って行う太陽電池廃棄物の収集運搬や処分に限られます。
そのため、認定計画に含まれていない廃棄物、収集区域、処理施設、処理工程には特例が及びません。計画外の廃棄物を収集運搬または処分する場合には、通常の廃棄物処理業許可が必要です。
計画に記載された委託先にも特例が及ぶ
認定計画に記載された収集運搬業者や処分業者が、認定事業者から委託を受けて計画に従った業務を行う場合、その委託先にも業許可の特例が適用されます。
そのため、収集運搬業者や中間処理業者は、自ら認定を申請するほか、他の事業者が申請する認定計画の委託先として参加することもできます。
ただし、認定計画に記載されていない事業者へ自由に委託できる制度ではありません。委託の方法や収集運搬、処分、保管などの具体的な基準は、今後制定される政省令で定められます。
処理施設の設置許可は別に必要
認定によって不要となるのは、収集運搬業と処分業の許可です。一方、廃棄物処理法第15条に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可は、許可特例の対象に含まれていません。
そのため、設置する破砕施設などが廃棄物処理法施行令第7条の産業廃棄物処理施設に該当する場合は、国の認定とは別に施設設置許可を受けなければなりません。新法の認定は事業計画を対象とし、廃棄物処理法第15条の許可は個別の処理施設の設置を対象とします。
設置する施設が許可対象となるかは、受け入れる廃棄物の種類、処理方法、設備の構造、処理能力などに基づいて判断されます。事業計画、処理工程図、設備仕様などを示したうえで、施設所在地を所管する許可行政庁の判断を受ける必要があります。
福島県では要綱手続後に施設許可を申請
福島県が所管する区域では、廃棄物処理法上の産業廃棄物処理施設を設置する場合だけでなく、県条例上の産業廃棄物指定処理施設を設置する場合にも、許可申請の前に福島県産業廃棄物処理指導要綱に基づく手続を行います。
要綱に基づく手続では、事業計画書を地方振興局長へ提出し、環境影響調査や関係市町村・関係機関との協議などを進めます。その後、要綱に基づく手続の終了通知を受けて、廃棄物処理法または県条例に基づく施設設置許可の申請へ移ります。
設置する施設が廃棄物処理法施行令第7条の産業廃棄物処理施設に該当する場合は、廃棄物処理法に基づく設置許可を申請します。一方、同条の施設に該当しなくても、県条例上の産業廃棄物指定処理施設に該当する場合は、条例に基づく設置許可が必要です。
なお、福島市、郡山市、いわき市では、それぞれの市が廃棄物処理行政を所管しています。施設所在地に応じて、各市の制度に基づく手続を進める必要があります。
認定事業への参入は施行前から検討する
新法は、広域的かつ効率的な再資源化事業を国が認定し、認定計画に従って行う収集運搬や処分について、自治体の業許可を不要とする制度です。制度の背景や目的については、環境省の法律案の閣議決定に関する報道発表でも説明されています。
行政書士としては、大量かつ広域的に排出される太陽電池廃棄物は、将来的に国の認定を受けた事業へ集約していく可能性があるのではないかと考えます。
そのため、認定事業者や委託先としての参入を検討する事業者は、今後の政省令を見ながら、収集区域、運搬体制、処理施設、委託先などについて、今から検討を始めることも有用です。
もっとも、国の認定を受けても、廃棄物処理法や県条例に基づく施設設置許可が不要になるわけではありません。認定制度への対応と、要綱手続・施設設置許可の準備は、事業計画の初期段階から併せて検討することになります。




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行政書士 佐藤勇太
