※ 本記事の相談内容は、制度や実務上の論点を分かりやすく説明するために設定した想定事例です。
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当社では、建設工事の現場から出る木くずや廃プラスチック類などを、産業廃棄物処理業者へ処理委託しています。
一方、会社の事務所や資材置場からも、不要になった書類や段ボール、プラスチック製品、金属製品などのごみが出ます。
会社の事業活動から出たごみであれば、これらもすべて産業廃棄物として処理業者へ委託してよいのでしょうか。
事業活動に伴って生じた廃棄物が、すべて産業廃棄物になるわけではありません。
産業廃棄物に該当するかは、まず廃棄物の種類を把握し、その種類について業種や発生原因による限定がある場合には、どのような事業活動から生じたものかまで検討する必要があります。
例えば、事業活動に伴って生じた廃プラスチック類や金属くずは、排出事業者の業種を問わず産業廃棄物に該当します。一方、紙くずや木くずには業種と発生原因による限定があります。
一般廃棄物と産業廃棄物では処理を委託できる業者も異なります。そのため、会社から出たごみを一括して扱うのではなく、それぞれの廃棄物について区分を判断する必要があります。
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事業活動から発生した廃棄物の区分
廃棄物処理法第2条では、一般廃棄物を「産業廃棄物以外の廃棄物」とし、産業廃棄物を、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち法令で定められたものとしています。
したがって、会社や事業所から排出されたという理由だけで産業廃棄物になるわけではありません。事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないものが事業系一般廃棄物となります。
なお、その物がそもそも廃棄物に該当するのか、有価物として扱われるのかは、その前段階で検討する問題です。金属スクラップについては、当事務所の「金属スクラップは有価物か金属くずか、行政書士が解説」で詳しく説明しています。
また、建設工事に伴って生じる廃棄物については、原則として発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者となります。実際に廃棄物を発生させる作業を下請業者が行った場合も同様です。詳しくは、当事務所の「建設業者の産業廃棄物マニフェスト管理を行政書士が解説」で説明しています。
産業廃棄物には業種と発生原因による限定がある
産業廃棄物には、排出事業者の業種を問わず産業廃棄物となるものと、特定の業種や発生原因に該当した場合に産業廃棄物となるものがあります。そして、今回の相談に関係する廃棄物を比べると、次のようになります。
| 廃棄物 | 業種・発生原因による限定 | 建設会社での考え方 |
|---|---|---|
| 廃プラスチック類 | なし | 事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物 |
| 金属くず | なし | 事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物 |
| 紙くず | あり | 建設業では、工作物の新築・改築・除去に伴って生じたもの |
| 木くず | あり | 建設業では、工作物の新築・改築・除去に伴って生じたもの |
例えば、建設会社の事務所で使用していたプラスチック製品が不要となり、廃棄物として排出される場合には、廃プラスチック類として産業廃棄物に該当します。
金属製品についても、事業活動に伴って生じた廃棄物が金属くずに該当すれば、産業廃棄物として扱います。一方、紙くずや木くずについては、どのような事業活動から生じたのかまで検討する必要があります。
紙くず・木くずは発生原因を踏まえて判断する
前述したとおり、紙くずや木くずについては、「建設会社が排出した」という事実だけで区分を判断することはできません。
厚生省の通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」(昭和46年10月25日環整45号)では、建設業に係る紙くずについて、工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものが対象とされ、「改築」には増築を含むとされています。木くずについても同じ限定があります。
つまり、「建設業者が排出した紙だから産業廃棄物」と考えるのではなく、その紙くずが建設工事に伴って生じたものかも検討しなければなりません。
建設工事に伴って生じた紙くず・木くず
環境省の「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について」の別添「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」では、建設工事から排出される紙くずや木くずについて具体例が示されています。
この資料によれば、木くずとしては、型枠、足場材、内装・建具工事等の残材、抜根・伐採材、木造解体材などが挙げられています。
紙くずについては、包装材、段ボール、壁紙くずが例示されています。そのため、工事に伴って生じた包装材や段ボールは、建設工事から生じた紙くずとして産業廃棄物に該当します。
また、同指針では、廃プラスチック類として廃発泡スチロール等の梱包材、廃ビニール、廃シート類など、金属くずとして鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、足場パイプなどが例示されています。
事務所や資材置場から出る紙くず・木くず
一方、建設会社の通常の事務作業で不要となった書類は、建設工事に伴って生じた紙くずではありません。建設廃棄物処理指針でも、建設現場・現場事務所等から排出される一般廃棄物として新聞、雑誌等を挙げ、工事から排出される産業廃棄物と区分しています。
ここで重要なのは、廃棄物が置かれていた場所だけで判断しないことです。例えば、資材置場から木くずが排出された場合には、次のような点を把握します。
- その木材が何に使用されていたものなのか
- 建設工事に伴って発生したものなのか
- どのような経緯で廃棄物となったのか
同じ建設会社の敷地から排出される木くずでも、発生原因によって区分が異なることになります。
なお、貨物の流通に使用した木製パレットについては、排出事業者の業種を問わず、事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物に該当します。木くずには、このように建設業の業種限定とは別の取扱いがあるものもあります。
同じ伐採木でも発生原因によって区分が変わる
建設廃棄物処理指針では、建設工事に伴って発生する抜根・伐採材について、建設業に係る木くずとして扱うとされています。例えば、建設工事を行うために敷地内の樹木を伐採した場合に生じる伐採材がこれに当たります。
そのため、伐採木という名称だけで区分するのではなく、どのような事業活動に伴って発生したものなのかを検討する必要があります。
一般廃棄物と産業廃棄物では委託先が異なる
事業系一般廃棄物と産業廃棄物を正しく区分する必要がある理由の1つが、処理を委託できる業者の違いです。
一般廃棄物と産業廃棄物では、それぞれ別の処理業許可制度が設けられています。そのため、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者であっても、その許可だけで事業系一般廃棄物を収集運搬することはできません。
事業系一般廃棄物の具体的な排出方法や、市町村の処理施設へ搬入できる廃棄物の範囲は自治体によって異なります。事業系一般廃棄物に該当すると判断した後は、排出場所を管轄する市町村のルールを調べる必要があります。
一方、産業廃棄物の収集運搬を他人へ委託する場合には、必要な品目について産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者へ委託する必要があります。福島県での許可については、当事務所の「福島県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたい方へ」でも説明しています。
事業系一般廃棄物と産業廃棄物の判断手順
事業活動から廃棄物が発生した場合には、次の順序で検討すると区分しやすくなります。
- 何が廃棄物になったのかを把握する
紙、木、プラスチック、金属など、排出する物の種類を把握します。 - 業種を問わず産業廃棄物となる種類かを調べる
廃プラスチック類や金属くずなど、事業活動に伴って生じたものであれば業種を問わず産業廃棄物となるものがあります。 - 業種や発生原因による限定があるかを調べる
紙くずや木くずなどについては、排出事業者の業種と発生原因を検討します。 - どの事業活動や工程から発生したのかを把握する
建設業であれば、工作物の新築、改築、除去に伴って生じたものなのか、通常の事務作業などから生じたものなのかを区別します。 - 区分に応じた方法で処理する
産業廃棄物であれば産業廃棄物として、事業系一般廃棄物であれば排出場所を管轄する市町村のルールに従って処理します。
廃棄物の種類や発生工程が分からなければ、正確な区分は困難です。判断に迷って行政へ問い合わせる場合には、排出源、どのような工程で発生したものか、材質や状態などを把握したうえで相談するとよいでしょう。
なお、その物が廃棄物ではなく有価物に該当する可能性がある場合には、この手順に入る前に廃棄物該当性を検討する必要があります。
今回の相談内容に当てはめると
冒頭の建設会社から排出される廃棄物を当てはめると、次のようになります。
| 排出物 | 判断するポイント | 区分の考え方 |
|---|---|---|
| 不要となったプラスチック製品 | 廃プラスチック類に該当するか | 事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物 |
| 不要となった金属製品 | 金属くずに該当するか | 事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物 |
| 通常の事務作業から出た書類 | 建設工事に伴って生じた紙くずか | 建設工事に伴って生じたものではないため事業系一般廃棄物 |
| 工事に伴って生じた段ボール | 建設工事に伴って生じた紙くずか | 産業廃棄物 |
| 木くず | どの事業活動から生じたのか | 発生原因から判断 |
同じ建設会社から排出される廃棄物であっても、すべてを1つの区分で処理することはできません。特に紙くずや木くずについては、廃棄物の名称だけではなく、その物がどのような事業活動から発生したのかまで調べる必要があります。
まとめ:種類と発生原因から廃棄物を区分する
事業活動から発生した廃棄物については、排出した会社の業種だけで一般廃棄物と産業廃棄物を区分することはできません。
廃プラスチック類や金属くずのように、事業活動に伴って生じたものであれば業種を問わず産業廃棄物となるものがある一方、紙くずや木くずのように、業種と発生原因によって区分が変わるものがあります。
特に建設業では、工作物の新築、改築、除去に伴って発生したものなのか、事務所等の通常業務から発生したものなのかを把握する必要があります。
また、一般廃棄物と産業廃棄物では処理を委託できる業者も異なります。廃棄物の種類、業種、発生原因を踏まえて区分し、それぞれに対応した方法で処理しなければなりません。




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行政書士 佐藤勇太
