経営事項審査の完成工事高と業種間積み上げを解説

記事更新日:

経営事項審査では、完成工事高は業種ごとにX1として評価されます。X1は2年平均・3年平均の選択に加え、一定の場合には他業種の完成工事高を加算する「業種間積み上げ」によっても変わります。

この記事では、福島県の手引きに基づき、X1の計算方法、積み上げの条件、振替元業種への影響、入札時の注意点を具体例とともに解説します。

完成工事高はX1として業種別に評価される

経営事項審査では、会社全体の売上高ではなく、建設工事の種類ごとの年間平均完成工事高を評価します。この完成工事高を点数に換算したものが、経営規模を評価する項目の1つであるX1です。

例えば、土木一式工事と舗装工事の両方について経審を受ける会社であれば、それぞれの年間平均完成工事高からX1を算出します。そのため、同じ会社であっても業種によって総合評定値(P点)は異なります。

なお、X1の評点は最高2,309点、最低397点で、P点を計算する際のウェイトは25%です。

完成工事高として計上できるのは建設工事に係る売上です。福島県の手引きでは、除雪、樹木の剪定、浄化槽清掃、公園管理業務、法面草刈り、側溝泥上げなどは建設工事に該当せず、完成工事高に含めることができないとされています。

また、1つの請負契約に係る完成工事高を、2つ以上の業種に分割したり重複して計上したりすることもできません。

完成工事高の金額にも注意が必要です。免税事業者を除き、経審の完成工事高は消費税抜きで計上します。建設業許可や技術者の配置で使われる請負代金の基準には消費税込みで判断するものもあるため、同じ金額基準として混同しないようにしてください。

完成工事高の業種間積み上げとは

経審では、1つの建設業の完成工事高を、その内容または性質に応じて、経審を受ける別の建設業の完成工事高に含めて申請することができます。福島県の手引きでは、この取扱いを完成工事高の「積み上げ」としています。

もっとも、どの業種間でも自由に完成工事高を移せるものではありません。工事の内容や性質を踏まえて積み上げの可否を判断する必要があり、積み上げを利用する場合には申請方法にも一定のルールがあります。

専門工事を一式工事へ積み上げる場合

代表的なのが、専門工事の完成工事高を土木一式工事または建築一式工事へ積み上げるケースです。

福島県の手引きでは、土木一式工事への積み上げ元として、とび・土工・コンクリート工事、石工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、水道施設工事、解体工事などが示されています。

建築一式工事についても、大工工事、左官工事、屋根工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、建具工事、解体工事などが例示されています。

例えば、年間平均完成工事高が土木一式工事5,000万円、舗装工事3,000万円で、舗装工事を土木一式工事へ積み上げられるケースを考えてみます。

 

 

この例では、土木一式工事5,000万円だけでX1を計算すると645点ですが、3,000万円を積み上げて8,000万円になれば689点です。X1に44点の差が生じ、P点の計算上では11点相当の差となります。

専門工事間でも積み上げられる場合がある

業種間積み上げは、一式工事への積み上げだけではありません。経審を受ける専門工事に、別の専門工事の完成工事高を積み上げられる場合もあります。

福島県の手引きでは、一般的な事例として、電気工事と電気通信工事、管工事と熱絶縁工事・水道施設工事、とび・土工・コンクリート工事と石工事・造園工事の組み合わせが示されています。実際に積み上げられるかどうかは、工事の内容や性質に応じて判断します。

振替元と振替先の双方に許可が必要

業種間積み上げを行うには、申請時に振替元と振替先の双方について建設業許可を受けている必要があります。許可を受けていない業種の完成工事高を、許可を受けている別の業種へ積み上げることはできません。

福島県で積み上げを行う場合は、「工事種類別完成工事高付表(様式第1号)」を作成して提出します。また、振替元業種の工事について、契約書などの裏付け資料の提示も必要です。

積み上げは審査対象年度だけに行うものでもありません。審査対象年度について積み上げた場合には、前審査対象年度、前々審査対象年度についても同じ取扱いで数値を算出して計上します。3年のうち直近1年だけを振り替えて、X1を計算することはできません。

なお、詳しい取扱いは、福島県の「経営事項審査申請の手引(令和8年6月版)」で公表されています。

振替元の業種では経審を受けられない

業種間積み上げで特に注意したいのが、振替元となった業種の扱いです。完成工事高を別業種へ積み上げた場合、振替元の業種については、経営事項審査を申請することはできません。

例えば、舗装工事の完成工事高を土木一式工事へ積み上げれば、土木一式工事のX1を高くできる可能性があります。一方、その舗装工事についてP点を取得することはできません。

振替元業種の公共工事への入札に影響する

経審が必要となる一定の公共工事を元請として受注するには、その工事に対応する業種について経営事項審査を受けておく必要があります。

たとえば、土木一式工事の点数を高くするために舗装工事を積み上げた結果、舗装工事のP点が取得できなければ、舗装工事として発注される公共工事への入札に影響します。

そのため、X1が何点上がるかだけで積み上げを判断するのではなく、今後どの工事を受注したいのかまで考える必要があります。

結果通知後に振替元を追加して再申請できない

福島県では、積み上げによる経審の結果通知を受けた後、振替元業種の総合評定値が必要になっても、申請内容を変更して再度経審を受けることはできません。

たとえば、舗装工事を土木一式工事へ積み上げて結果通知を受けた後に、「舗装工事のP点も必要だった」と分かっても、今回の経審をやり直して舗装工事を追加することはできません。入札参加を予定する業種は、経審を申請する前に十分に検討しておく必要があります。

発注者によって積み上げの取扱いが異なる

経審で業種間積み上げが認められても、公共工事の入札参加資格で同じ取扱いになるとは限りません。

福島県の手引きでも、発注者によっては積み上げ先の業種で経審を受けたものとして扱わず、公共工事の入札に参加できないことがあるため、各発注者が積み上げを認めているかを調べるよう注意喚起がされています。

完成工事高は2年平均か3年平均で計算する

X1では、申請日の直前2年または直前3年の完成工事高から年間平均完成工事高を算出します。2年平均と3年平均のどちらを採用するかは申請者が選択できます。

ただし、土木一式工事は2年平均、舗装工事は3年平均というように、審査対象業種ごとに選択を変えることはできません。経審を受けるすべての業種について、同じ基準を使用します。

例えば、ある業種の完成工事高が次のように推移している場合を考えます。

事業年度 完成工事高
3期前 4,000万円
2期前 8,000万円
直近期 1億2,000万円
2年平均 1億円
3年平均 8,000万円

この例では、2年平均ならX1は711点、3年平均なら689点となります。直近の完成工事高が伸びている会社では2年平均が有利になることがありますが、直近の完成工事高が落ち込んでいれば3年平均の方が高くなる場合もあります。

また、この2年平均・3年平均の選択は元請完成工事高にも関係します。元請完成工事高はZの評価項目の1つなので、X1だけを比較して選択するのではなく、Zのうち元請完成工事高への影響も考える必要があります。

年間平均完成工事高からX1評点を算出する

年間平均完成工事高が決まった後、その金額を国土交通省が定める算式に当てはめてX1を算出します。完成工事高とX1は比例するものではなく、年間平均完成工事高の金額に応じた42区分の算式によって点数が決まります。

中小建設業者に比較的関係しやすい金額を抜き出すと、次のようになります。

年間平均完成工事高 X1評点
1,000万円 528点
5,000万円 645点
8,000万円 689点
1億円 711点
3億円 842点

X1は年間平均完成工事高が増えるほど高くなりますが、完成工事高が2倍になればX1も2倍になる仕組みではありません。年間平均完成工事高が1,000億円以上になるとX1は上限の2,309点となります。

したがって、業種間積み上げを利用する場合も、単純に「3,000万円を積み上げられるから有利」と判断するのではなく、積み上げ前後の年間平均完成工事高をX1へ換算して、どの程度評点が変わるのかを計算する必要があります。

積み上げは今後入札する業種まで考えて選択する

完成工事高のX1を検討するときは、2年平均と3年平均のどちらが高いかだけで判断できません。どの業種で経審を受けるのか、業種間積み上げを利用するのかによって、評価される完成工事高そのものが変わります。

特に積み上げを利用すると、振替元の業種では経審を受けられません。さらに、結果通知後に振替元業種のP点が必要になっても、その業種を追加するために今回の経審を再申請することはできません。入札したい工事種別と経審を受ける業種を、申請前に検討しておくことが重要です。

当事務所では、経営事項審査の申請書類の作成・提出に加えて、完成工事高、受審業種、2年平均・3年平均などを踏まえた申請内容の検討にも対応しています。詳しくは、「福島県で経営事項審査を受けたいとお考えの方へ」をご参照ください。

福島県の公共工事への参加を予定している場合には、経審後の入札参加資格も併せて検討する必要があります。「福島県建設工事の入札参加資格申請をご希望の方へ」でも、申請時期や入札参加資格について解説しています。

 

 

福島県内の建設業許可に関する相談のご予約

対面でのご相談、Zoomなどのオンラインでのご相談をご希望の方は、お電話またはメールにてお問い合わせください。できる限り早く面談の時間を設定させていただきます。

お電話・メールでの無料相談は承っておりません。あらかじめご了承ください。

お電話での相談のご予約

「建設業許可のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-18:00(土日祝休)
メールでの相談のご予約・お問い合わせ

メールは365日、24時間承っております(返信は通常1~2営業日中に送信いたします)

    行政書士佐藤勇太事務所(以下、「当事務所」という。)は、当サイトの来訪者の個人情報について、以下のとおりプライバシーポリシーを定めます。

    1.事業者情報

    事務所名:行政書士佐藤勇太事務所
    住  所:福島県二本松市大壇157番地1
    代  表:行政書士 佐藤勇太

    2.個人情報の取得方法

    当事務所は、来訪者がお問い合わせフォームから送信する際に、氏名・電話番号・メールアドレスを取得させていただきます。

    3.個人情報の利用目的

    お問い合わせへの対応とその後の相談、業務の遂行、アフターサービスのために利用させていただきます。
    また、当サイト内で「このようなお問合せがありました」と紹介させていただく場合もあります。

    4.個人データを安全に管理するための措置

    当事務所は、個人情報を正確かつ最新の内容に保つよう努め、不正なアクセス・改ざん・漏えい・滅失及び毀損から保護するための措置を講じます。

    5.個人データの第三者提供について

    当事務所は、法令及びガイドラインに別段の定めがある場合を除き、同意を得ないで第三者に個人情報を提供することは致しません。

    6.保有個人データの開示、訂正

    当事務所は、本人から個人情報の開示を求められたときには、遅滞なく本人に対しこれを開示します。
    個人情報の利用目的の通知や訂正、追加、削除、利用の停止、第三者への提供の停止を希望される方は当事務所までご連絡ください。

    7.個人情報取り扱いに関する相談や苦情の連絡先

    当事務所の個人情報の取り扱いに関するご質問やご不明点、苦情、その他のお問い合わせは、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

    8.Google Analyticsの利用について

    当サイトではホームページの利用状況を把握するためにGoogle Analyticsを利用しています。そのためGoogle Analyticsから提供されるCookie を使用していますが、Google Analyticsによって個人を特定する情報は取得していません。

    9.免責事項

    当サイトに掲載されている情報の正確性には万全を期していますが、利用者が当サイトの情報を用いて行う一切の行為に関して、一切の責任を負わないものとします。
    当事務所は、利用者が当サイトを利用したことにより生じた利用者の損害及び利用者が第三者に与えた損害に関して、一切の責任を負わないものとします。

    10.著作権・肖像権

    当サイト内の文章や画像、すべてのコンテンツは著作権・肖像権等により保護されています。無断での使用や転用は禁止されています。

    2023年5月1日制定

    ページトップへ戻る