
解体・改修工事で石綿を含む建材を撤去した場合、撤去後の廃棄物についても廃棄物処理法に従った処理が必要です。建設工事では原則として元請業者が排出事業者となり、保管から収集運搬、処分まで適正に処理する責任を負います。
石綿を含む廃棄物には「石綿含有産業廃棄物」と、特別管理産業廃棄物に該当する「廃石綿等」があり、それぞれ処理基準が異なります。
石綿の事前調査や除去作業には、大気汚染防止法や石綿障害予防規則による別の規制があります。ここでは、撤去後に廃棄物となった石綿含有建材について、廃棄物処理法上の取扱いを解説します。
コンテンツ
石綿含有産業廃棄物と廃石綿等の違い
石綿含有産業廃棄物とは、工作物の新築、改築または除去に伴って生じた産業廃棄物で、石綿を重量の0.1%を超えて含むもののうち、廃石綿等を除いたものです。一方、吹付け石綿や一定の石綿含有保温材、断熱材、耐火被覆材などは「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に該当します。
| 区分 | 石綿含有産業廃棄物 | 廃石綿等 |
|---|---|---|
| 法令上の区分 | 産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
| 主な例 | 石綿含有成形板、石綿含有仕上塗材など | 吹付け石綿、一定の保温材・断熱材・耐火被覆材など |
| 処理 | 石綿含有産業廃棄物の処理基準による | 特別管理産業廃棄物の処理基準による |
詳しい区分や処理方法は、環境省の「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」にまとめられています。現在公表されている第3版は、令和4年11月4日に一部修正されたものです。
石綿含有産業廃棄物は、がれき類だけとは限りません。建材や除去後の性状によって、廃プラスチック類、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずなどに該当します。また、石綿含有仕上塗材については、除去工法によって泥状となったものが汚泥に該当する場合があります。
石綿含有産業廃棄物は分別して保管する
石綿含有産業廃棄物を保管するときは、他の廃棄物と混合しないよう仕切りを設けるなどの措置を講じるとともに、覆いや梱包によって石綿の飛散を防止する必要があります。
保管場所には囲いを設け、掲示板には産業廃棄物の保管場所であることに加え、石綿含有産業廃棄物を保管している旨を表示します。
石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものについては、耐水性のプラスチック袋等で二重にこん包します。一方、石綿含有産業廃棄物すべてについて、廃石綿等と同じ方法による二重こん包が求められているわけではありません。
収集運搬を委託する際は許可内容を調べる
石綿含有産業廃棄物の収集運搬を委託する場合、対象となる産業廃棄物の種類が許可品目に含まれているだけでは足りません。石綿含有産業廃棄物を「含む」事業範囲となっているかまで照らし合わせる必要があります。
福島県の許可申請手引きでも、廃プラスチック類、ガラスくず等、がれき類について「石綿含有産業廃棄物を含む」とする記載例が示されています。
福島県では、当事務所が2025年に県北地方振興局へ照会した際、「石綿含有産業廃棄物を含まない」から「含む」へ変更する場合には、事業範囲変更許可が必要との説明を受けています。
許可取得後の変更については、当事務所の「産廃収集運搬業の『変更届』と『変更許可』を行政書士が解説」もご参照ください。新たに許可を取得する場合は、「福島県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたい方へ」で手続きや料金を案内しています。
運搬するときは、石綿含有産業廃棄物を破砕しないよう積み込む必要があります。
ただし、廃棄物が運搬車両より大きいなど、積込みのためにやむを得ず破砕・切断が必要な場合は、散水等によって十分に湿潤化したうえで、積込みに必要な最小限度の破砕・切断を行うことが認められています。
切断・破砕された石綿含有けい酸カルシウム板第1種を運搬する場合には、フレキシブルコンテナや十分な強度を持つプラスチック袋等で梱包し、廃棄物が露出しないようにします。
福島県が許可した処理業者は、福島県「産業廃棄物処理業者の検索」から調べられます。ただし、福島市、郡山市、いわき市が許可した業者は、この検索システムの対象外です。
委託契約書とマニフェストに石綿含有を記載する
石綿含有産業廃棄物の処理を委託する場合、委託契約書には、委託する廃棄物に石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を記載する必要があります。排出事業者から処理業者へ、適正処理に必要な情報を伝えなければなりません。
マニフェストについても、紙・電子のいずれを利用する場合でも、石綿含有産業廃棄物が含まれることを明らかにします。廃棄物の種類や数量など、マニフェストに必要な情報とあわせて管理する必要があります。
委託契約書の作成や許可内容との照合については、「【相談事例】産業廃棄物の処理の委託には契約書が必要か」で詳しく解説しています。
石綿含有産業廃棄物は通常の破砕処理ができない
石綿含有産業廃棄物は、通常のがれき類のように破砕して再生利用することはできません。処分または再生にあたっては、石綿の飛散を防ぐため、破砕・切断が原則として禁止されています。
中間処理を行う場合は、溶融処理や環境大臣の認定を受けた無害化処理など、法令で定められた方法によります。溶融・無害化処理施設へ投入するために必要な場合には、一定の条件のもとで破砕・切断が認められています。
最終処分は、許可を受けた最終処分場の一定の場所で、石綿含有産業廃棄物が分散しないように埋め立て、飛散・流出を防ぐため表面を土砂で覆うなどの措置を講じます。
福島市の名簿で確認できる処分業者
福島市が2026年9月30日に更新した産業廃棄物処分業者名簿では、次の2社について、最終処分の備考欄に「石綿含有産業廃棄物を含む」と記載されています。
| 処分業者 | 処分方法 | 名簿上の記載 |
|---|---|---|
| 阿部建材工業株式会社 | 安定型埋立 | 石綿含有産業廃棄物を含む |
| 株式会社クリーンテック | 管理型埋立 | 石綿含有産業廃棄物を含む |
※2026年9月30日更新の福島市産業廃棄物処分業者名簿による。
安定型埋立と管理型埋立では、受け入れることのできる産業廃棄物の種類が異なります。また、許可上処分できることと、実際にその時点で搬入を受け付けていることは別です。委託前に廃棄物の種類、荷姿、数量などを伝え、処分業者の受入条件を確かめる必要があります。
再生砕石への混入を防ぐ
石綿含有産業廃棄物を通常のコンクリートがらなどと混合して破砕すると、石綿を含む再生砕石が流通するおそれがあります。
厚生労働省、国土交通省、環境省は毎年、石綿対策に係る全国一斉パトロールを実施しています。2026年9月30日の発表でも、再生砕石への石綿含有産業廃棄物の混入防止対策の徹底について、現場指導や監視を行うことが示されています。
建設リサイクル法による分別解体等の対象工事であっても、石綿含有産業廃棄物については廃棄物処理法に従い、他の建設廃棄物へ混入させないことが必要です。
石綿含有産業廃棄物は処分先まで確認する
石綿含有産業廃棄物が発生する場合は、廃棄物の区分、現場での保管方法、委託先の許可内容、委託契約・マニフェスト、最終的な処分先まで一連の流れを整理する必要があります。
特に収集運搬を委託する場合は、通常の許可品目だけでなく、「石綿含有産業廃棄物を含む」事業範囲となっているかを照らし合わせることが重要です。
当事務所では、福島県の産業廃棄物収集運搬業許可の新規申請や事業範囲変更許可に関するご相談を受け付けています。石綿含有産業廃棄物を新たに取り扱う場合は、現在の許可内容と今後の事業計画を整理したうえで手続きを進めます。
お問合せから業務完了までの流れやサービス料金などの詳細については、「福島県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたい方へ」の記事をご覧ください。





事務所横に1台分の駐車場をご用意しております。
行政書士 佐藤勇太
