
福島県で建設業許可を新規取得するためには、申請書類の作成に加え、経営経験や技術者の資格・実務経験など、許可要件を満たしていることを証明する資料が必要になります。
また、工事経歴書や財務諸表を作成するためには、過去の決算書や工事関係資料も準備しなければなりません。
この記事では、福島県で建設業許可の取得を検討している法人・個人事業主の方に向けて、申請に必要な書類と、その具体的な準備方法について解説します。
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建設業許可申請に必要な書類
福島県で建設業許可を新規申請する際には、建設業許可申請書や工事経歴書などの申請書類に加え、その記載内容を裏付ける資料を準備する必要があります。必要な書類は、法人・個人の別や、許可要件を証明する方法などによって異なります。
福島県の「建設業許可申請の手引」(令和8年5月改訂版)では、別表4「許可申請に必要な書類一覧」に申請書類が、別表5「提出書類の内容を確認するもの一覧」に申請内容を裏付ける確認資料が整理されています。
特に注意したいのは、申請書に経営経験や技術者の実務経験を記載するだけでは足りず、それらを客観的に証明する資料が必要になることです。
なお、申請書類には、法人の定款や登記事項証明書、事業税の納税証明書なども含まれます。福島県では令和8年6月以降、「納税情報の確認に関する同意書」を提出することで、事業税の納税証明書の添付を省略できるようになりました。
経営経験と常勤性を証明する資料
建設業許可を取得するためには、建設業の経営を適正に行うための体制が整っていなければなりません。その中心となる常勤役員等については、過去の経営経験と、申請時点での常勤性をそれぞれ資料によって証明します。
経営経験を証明する資料
例えば、建設業に関する5年以上の経営経験によって要件を満たす場合、法人の役員経験については、登記事項証明書などによって在任期間を証明します。ただし、登記事項証明書だけでは、その会社が建設業を営んでいたことまでは分かりません。
そのため、福島県では、建設業の経営実績を裏付ける資料として、過去の工事請負契約書や、発注書と工事請書の組み合わせなどが示されています。
これらの資料が残っていない場合には、工事内容・工期・取引相手が分かる請求書などと、入金額が分かる資料を組み合わせて証明する方法もあります。
ここで注意したいのは、経営経験を証明しようとする期間について、通年分の資料が必要になることです。例えば、5年間の経営経験を証明する場合に、5年前の工事請負契約書が1件残っているだけでは、その期間を通じた経営実績を証明することはできません。
一方、個人事業主としての経営経験を使用する場合には、過去の所得税確定申告書などが重要な資料となります。確定申告書については、職業欄の記載や事業収入の内容などから、建設業を営んでいたことを把握できるかが問題になります。
また、以前から建設業許可を受けていた会社で役員を務めていた場合などは、許可通知書や過去の届出書類を利用できる場合もあります。
申請者の経歴によって必要な資料が異なりますので、まずは過去の経験をどのような書類で証明できるか調べておくことが大切です。
※ 福島県の手引に示された資料以外でも、経営経験を証明する資料として認められる余地はあります。所定の資料を用意できない場合には、管轄する建設事務所に相談してみましょう。
現在の常勤性を証明する資料
常勤役員等については、申請する会社や事業所に常勤していることも証明する必要があります。福島県では、健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書、住民税の特別徴収関係書類、確定申告書などが確認資料として示されています。
これらの資料には提出する際の優先順位があり、手引に記載された上位の資料から使用する取扱いとなっています。例えば、標準報酬決定通知書がある場合には、原則としてその資料を提出します。
法人の役員と個人事業主では使用できる資料に違いがあります。また、社会保険への加入状況によっても証明方法が異なるため、申請者の状況に応じた準備が必要です。
※経営経験の要件や証明方法については、建設業許可の経管(常勤役員等)の要件と証明方法でも詳しく解説しています。
営業所技術者等の確認資料
建設業許可では、営業所ごとに、取得する許可業種に対応した営業所技術者等を配置する必要があります。営業所技術者等の要件を満たす方法には、国家資格等によるものと、実務経験によるものがあります。
国家資格等によって要件を満たす場合には、合格証明書や免状などを準備します。資格によって認められる建設業種が異なりますので、申請する業種に対応しているかを確かめる必要があります。
なお、資格によっては、資格の取得に加えて一定の実務経験が求められるものもあります。例えば、第二種電気工事士や一部の技能検定資格などが該当します。
この場合には、資格証明書に加え、実務経験証明書も必要です。また、学歴と実務経験を組み合わせて要件を満たす場合には、卒業証明書なども準備します。
一方、実務経験によって要件を満たす場合には、実務経験証明書を作成します。福島県では、自己証明を行う場合、工事内容と経験期間を裏付ける資料の提出が求められます。
工事内容を証明する資料としては、工事請負契約書、発注書と工事請書の組み合わせ、工事内容・工期・取引相手が分かる請求書と入金記録などが示されています。
自己証明の場合には、実務経験の期間中にその会社に勤務していたことや、個人事業主として営業していたことを示す資料も必要です。例えば、会社勤務の経験であれば、当時の厚生年金加入記録や社会保険関係書類などが利用できます。
実務経験による証明では、必要な年数を満たしているだけでなく、その期間に申請業種に該当する工事に従事していたことが重要です。工事名だけでは業種を判断できない場合もあるため、施工内容を把握できる資料を残しておくことが望まれます。
なお、営業所技術者等についても、申請時点での常勤性を裏付ける資料が必要です。詳しくは、営業所技術者(専任技術者)の要件と証明方法を参照してください。
営業所の実態を示す資料
建設業許可の申請では、営業所として使用する建物について、使用する権原があることと、建設業の営業所としての実態があることを示す必要があります。
福島県では、自己所有の建物を営業所とする場合、建物の登記事項証明書や固定資産物件証明書などが確認資料として示されています。
賃借している場合には、賃貸借契約書などを準備します。契約期間が満了し、その後は自動更新されている場合には、直近の賃料を支払っていることが分かる資料も必要になります。
これらに加え、営業所の外観や内部を撮影した写真も必要です。外観については看板などが分かるようにし、内部については事務机や電話などが設置され、営業所として使用されている状況を示します。
建設業法上の営業所とは、建設工事の見積りや契約締結など、請負契約に関する実質的な業務を行う事務所をいいます。そのため、単に会社の所在地として登記されているだけでは、営業所としての実態を証明できません。
なお、自宅の一部や敷地内の別棟を営業所とすることも可能です。当事務所でも、自宅敷地内の離れを営業所とした申請を取り扱った経験があります。この際には、建物の所有関係に加え、営業所の外観・内部や敷地内の配置状況を示す資料を準備しました。
また、福島県の手引では、プレハブを営業所とする場合について、建物と、その建物が設置されている土地の両方について、所有権や利用権原を示す資料を求めています。
このように、建物の形態や使用状況によって準備する資料が異なる場合がありますので、一般的な事務所とは異なる建物を営業所とする場合には、事前に必要資料を確認しておくとよいでしょう。
財産的基礎と社会保険の確認資料
建設業許可を取得するためには、財産的基礎に関する要件と、適切な社会保険への加入に関する要件を満たす必要があります。
財産的基礎を証明する資料
一般建設業の許可では、自己資本(純資産額)が500万円以上あること、500万円以上の資金調達能力があることなど、定められた基準のいずれかを満たす必要があります。
自己資本によって要件を満たす場合には、直前の決算期における財務諸表を使用します。自己資本が500万円に満たない場合でも、預貯金残高証明書や融資証明書などによって、500万円以上の資金調達能力を証明できる場合があります。
ただし、自己資本と預貯金残高証明書の金額を合算することはできません。例えば、自己資本が400万円あり、預貯金残高が100万円あるという場合、両者を合計して500万円の基準を満たすという取扱いは認められていません。
また、福島県では、これらの証明書について発行後1か月以内のものを提出する取扱いとなっています。事前審査でほかの要件を満たすと通知された後に取得するよう案内されていますので、手続きの進行に合わせて準備します。
なお、設立後まだ最初の決算期を迎えていない法人については、設立時の開始決算書を添付します。この場合には、設立時の財務状況をもとに要件を満たしているか判断します。
社会保険の加入状況を示す資料
建設業許可では、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、法令上加入義務がある場合には、適切に加入していることが求められます。
福島県では、健康保険・厚生年金保険について、直近の保険料の領収書や納入証明書などが確認資料として示されています。雇用保険については、労働保険概算・確定保険料申告書の控えと領収済通知書などを準備します。
なお、法人と個人事業主では社会保険の適用関係が異なり、従業員の有無や人数によっても加入義務が変わります。
例えば、従業員を雇用していない個人事業主は、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所には該当せず、雇用保険についても加入義務がありません。
決算書と工事関係資料を準備する
新規申請で提出する「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」には、直前3年間の完成工事高を事業年度ごとに記載します。
そのため、3年以上の事業実績がある場合には、直前3期分の決算書を準備しておくとよいでしょう。開業・設立から3年未満の場合には、実際の事業期間に応じて整理します。
ただし、税務申告用の決算書には、通常、建設業法上の業種ごとの完成工事高や、元請工事と下請工事の内訳までは記載されていません。
これらの金額を把握するためには、工事台帳、請求書、工事請負契約書などを調べ、必要な情報を整理することになります。
工事ごとの売上を管理している場合は比較的整理しやすいものの、そのような記録がない場合には、過去の請求書などから工事内容や請負金額を調べる必要があります。
完成工事高を業種別・元請下請別に整理する
建設業許可の申請書類では、建設工事の売上を、その工事内容に応じて業種別に区分します。例えば、土木工事、舗装工事、管工事など、複数の種類の工事を請け負っている場合には、それぞれの工事が建設業法上のどの業種に該当するのかを判断し、完成工事高を集計します。
また、元請工事と下請工事を区別し、元請工事については、公共工事と民間工事に分けて金額を整理する必要があります。
「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」では、今回許可を申請する業種の完成工事高を業種別に記載し、それ以外の建設工事については「その他の建設工事の施工金額」欄に記載します。
建設工事以外の事業を営んでいる場合には、資材販売や運送などの売上を、建設工事の完成工事高と分けて整理します。これらの兼業売上は、様式第3号の工事施工金額には含めません。
こうして整理した工事実績は、工事経歴書の作成にも使用します。工事経歴書には、工事名、発注者、請負代金、工期などを記載するため、個々の工事に関する資料も必要です。詳しくは、建設業許可における工事経歴書の作成方法を参照してください。
建設業法に基づく財務諸表を作成する
建設業許可の申請では、税務申告用の決算書をもとに、建設業法に定められた様式による財務諸表を作成します。
法人の場合には、貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表などが必要になります。個人事業主の場合には、個人用の貸借対照表と損益計算書を作成します。
税務申告用の損益計算書では、建設工事の売上とそれ以外の売上が一括して計上されていることがあります。この場合、完成工事高と兼業事業売上高を区分し、建設業法の様式に従って記載しなければなりません。
また、建設工事に要した材料費、労務費、外注費などについても、決算書や帳簿をもとに整理する必要があります。
特に、個人事業主が白色申告をしている場合には、税務申告用の収支内訳書だけでは、建設業許可の申請に必要な貸借対照表を作成できないことがあります。その場合には、預貯金通帳や借入金の資料などから、決算日時点の資産・負債を把握する作業が必要です。
なお、新規申請で提出する財務諸表は原則として直前1期分です。直前3期分の決算書は、主として過去3年間の工事施工金額を整理するための基礎資料として利用します。
最後に、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表に記載する完成工事高など、各書類の金額に整合性があるかを確かめます。
福島県で建設業許可を申請する方へ
当事務所では、これまでの建設業許可申請の経験を踏まえ、申請者の状況や保管されている資料を調べたうえで、申請に向けた準備を進めています。
不明な点については法令や福島県の手引を調査し、必要に応じて管轄する建設事務所と事前に調整を行います。また、行政庁から説明を受けた事項についても、その根拠を確かめながら対応するようにしています。
こうした事前の調査と準備を十分に行うことで、申請後の補正や追加資料の提出をできるだけ少なくし、手続きを円滑に進めることを心がけています。
依頼者の方には、許可申請のために必要以上の時間や手間をかけることなく、本来の業務に専念していただきたいと考えています。
当事務所では、二本松市、本宮市、福島市、郡山市を中心とする福島県中通り地域の建設業許可申請を取り扱っています。
新規許可の取得を検討されている方は、福島県の建設業許可申請サポートをご参照ください。
初回相談は無料です。面談またはオンラインでお話を伺い、許可取得の見通しや、申請に向けて必要となる準備についてご説明いたします。




事務所横に1台分の駐車場をご用意しております。
行政書士 佐藤勇太
