
建設現場から発生した土を残土処分場やストックヤードへ搬出した場合、元請業者はその後の行き先まで把握する必要があるのでしょうか。建設発生土については制度が段階的に強化され、搬出前だけでなく、搬出後の行き先まで管理する仕組みが設けられています。
建設発生土は、廃棄物処理法上の産業廃棄物ではありません。一方、建設汚泥など産業廃棄物に該当するものは別のルールで処理するため、まず両者を区別する必要があります。
建設発生土を500㎥以上搬出する対象工事では、元請業者が搬出先の適正性を事前に調べ、搬出後には受領書によって実際の搬出先を確認します。
さらに、令和6年6月1日以降に新たに請負契約を締結した工事では、計画した搬出先から土が再搬出された場合、原則として最終搬出先まで把握しなければなりません。
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建設発生土は産業廃棄物とは扱いが異なる
国土交通省は、「建設発生土」を建設工事から搬出される土砂とし、廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しないとしています。建設工事から発生したものであっても、建設汚泥は産業廃棄物に該当します。
そのため、建設発生土については産業廃棄物のマニフェストによって管理するのではなく、資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画や受領書などによって搬出先を管理します。
また、廃棄物が混じった土については、廃棄物を分別し、廃棄物に該当するものを廃棄物処理法に従って処理します。今回の記事では、廃棄物に該当しない建設発生土を対象として説明します。
500㎥以上の搬出では計画作成が必要
建設工事から建設発生土を500㎥以上搬出する場合、元請業者は再生資源利用促進計画を作成しなければなりません。元請業者については、500㎥という基準を搬出先ごとではなく請負契約単位で判定します。
例えば、1つの請負契約で発生した建設発生土をA処分場へ200㎥、Bストックヤードへ300㎥搬出する場合は、合計500㎥となるため計画作成の対象です。搬出先が複数ある場合は、それぞれの搬出先に受領書の交付を求めます。
計画を作成した元請業者は、発注者へ計画を提出して内容を説明し、工事現場の公衆の見えやすい場所に掲示します。計画に変更が生じたときは速やかに変更し、その内容を発注者へ報告します。
なお、500㎥未満であれば、省令上の再生資源利用促進計画の作成義務はありません。ただし、発注者が500㎥未満の工事についても計画作成を求めている場合には、受領書の取得や最終搬出先の記録などを求められる場合があるため、契約内容を把握しておく必要があります。
適用時期は請負契約の締結日で判断する
建設発生土に関する制度は段階的に強化されました。適用される制度を判断するときは、土砂を実際に搬出した日ではなく、新たに請負契約を締結した時期が重要です。
| 適用時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 令和5年1月1日以降に新たに契約した工事 | 計画作成の基準を1,000㎥以上から500㎥以上へ拡大、発注者への説明、現場掲示、保存期間を5年間へ延長 |
| 令和5年5月26日以降に新たに契約した工事 | 搬出先の適正性や土壌汚染対策法等の手続状況の事前チェック、受領書による搬出先の把握 |
| 令和6年6月1日以降に新たに契約した工事 | 計画した搬出先から再搬出された場合の最終搬出先までの把握 |
令和5年1月1日より前に締結した請負契約は、その後に変更契約を行っても、計画作成について改正前の1,000㎥以上という基準が適用されます。
出典:国土交通省「建設工事から発生する土の搬出先の明確化等」(令和6年6月更新)p.11
この図では、計画の作成から搬出先の事前チェック、受領書、最終搬出先までの把握、5年間の保存までの流れが示されています。本文では図に記載された事項を繰り返さず、以下では実務上重要な点を説明します。
搬出前に搬出先の適正性をチェックする
再生資源利用促進計画を作成する元請業者は、建設発生土を搬出する前に、予定している搬出先が適正な場所であるかを調べ、確認結果票を作成します。
搬出先については、盛土規制法や都道府県等の土砂条例に基づく許可・届出が必要かを調べます。許可等が必要な場所であるにもかかわらず必要な手続きがされておらず、許可等を要しない理由もない場合、その場所は適正な搬出先ではありません。
一方、公共施設用地、他法令に基づく許可を受けた場所、対象規模未満の盛土など、盛土規制法等の許可を要しない場合もあります。許可が必要かどうかは搬出先の状況によって異なるため、許可不要と判断する場合も、その根拠を把握して確認結果票に反映します。
土壌汚染対策法等の手続状況も把握する
元請業者は搬出先だけでなく、土砂を搬出する工事区域について、発注者等が土壌汚染対策法や地方公共団体の条例に基づく必要な手続きを行っているかも把握し、その結果を確認結果票に記載します。
汚染土壌は再生資源利用促進計画に含める建設発生土ではありません。土壌汚染対策法等に従って取り扱うため、通常の建設発生土とは区別します。
国土交通省は確認結果票の作成方法について解説を公開しており、現在の「建設発生土の搬出先計画制度」のページには令和7年3月版が掲載されています。
運搬を委託する場合は計画内容を通知する
建設発生土の運搬を他の事業者へ委託するときは、元請業者から土砂を運搬する者へ再生資源利用促進計画に記載した内容を通知します。
実際に運搬する事業者にも搬出先の情報を共有することで、計画した場所とは異なる場所へ土砂が搬出されることを防ぐ仕組みです。
搬出後は受領書で実際の搬出先を把握する
建設発生土を計画に記載した場所へ搬出したときは、元請業者が搬出先の管理者に受領書の交付を求めます。そのうえで、受領書に記載された搬出先が計画した搬出先と一致しているかを照合します。
受領書には、搬出先の名称、管理者、搬出元、搬出量、搬出完了日などが記載されます。受領書またはその写しは、工事完成後5年間保存します。
元請業者が自社のストックヤードへ搬出するなど、搬出元と搬出先が同一の場合には、搬出したことを証する「土砂搬出及び受領証明書」を作成し、受領書として扱います。
反対に、自社の工事現場へ再生資源利用計画に記載した搬入元から建設発生土を受け入れた場合は、自社が受領書を交付する側になります。
再搬出された場合は最終搬出先まで追跡する
令和6年6月1日以降に新たに請負契約を締結した対象工事では、計画に記載した搬出先から建設発生土がさらに別の場所へ搬出されたとき、元請業者は最終搬出先まで把握しなければなりません。
例えば、工事現場から非登録ストックヤードへ搬出し、そのストックヤードから残土処分場へ再搬出された場合です。この場合、ストックヤードへの搬出を把握しただけでは、元請業者の対応は終了しません。
再搬出されたときは、再搬出先の名称・所在地、管理者、搬出元、搬出量、搬出完了日を記載した書面を作成します。さらに別の場所へ搬出された場合も同様に記録をつなぎ、作成した書面を工事完成日から5年間保存します。
なお、再搬出先については、その都度必ず受領書を取得する義務があるわけではありません。必要事項を記載した書面を作成することが原則であり、受領書を取得してその書面に代えることもできます。
非登録ストックヤードではその先まで把握する
非登録ストックヤードへ搬出した場合、最終搬出先まで把握する義務は元請業者に残ります。そのため、搬入元ごとの再搬出先を特定できるように管理されているストックヤードを選ぶ必要があります。
国土交通省のFAQでは、搬入元別に土砂を区分して管理する方法のほか、一定期間に受け入れたすべての土砂を1つの再搬出先へ搬出し、更地にしてから次の受入れを行う方法も例示されています。
また、非登録ストックヤードからの再搬出が工事完成後になる場合もあります。最終搬出先を把握する期間に上限は定められていないため、搬出後も必要な情報を得られるストックヤードであることが重要です。
登録ストックヤード等ではその先の追跡が不要
国土交通省は、次の搬出先について、元請業者によるその先の最終搬出先までの把握を不要としています。
- 国または地方公共団体が管理し、管理者が受領書を交付する場所
- 他の建設工事で利用する場合
- 国土交通大臣の登録を受けたストックヤード
- 土砂処分場で、盛土利用等を行い再搬出しないもの
登録ストックヤードへ搬出した場合は、その後の搬出先管理を登録ストックヤード運営事業者が行います。元請業者は登録ストックヤードから先の最終搬出先まで追跡する必要がありません。
一方、同じ「ストックヤード」という名称でも、非登録であれば元請業者の最終搬出先までの把握義務は残ります。ストックヤードを選定するときは、国の登録を受けているかを事前に調べることが重要です。
再搬出しない土砂処分場はそこで追跡が終わる
土砂処分場で盛土等に利用し、その土砂を再び搬出しない場合は、その処分場が最終搬出先です。そのため、処分場より先を追跡する必要はありません。
反対に、処分場として利用している場所から実際には土砂が再搬出される場合には、単に「処分場」という名称だけで最終搬出先と判断することはできません。
出典:国土交通省「建設工事から発生する土の搬出先の明確化等」(令和6年6月更新)p.9
この図では、処分場等への直接搬出、登録ストックヤード、非登録ストックヤードについて、誰がその先の搬出先を把握するのかが図示されています。
福島県内の搬出先では県内規制にも注意する
ところで、建設発生土の搬出先が福島県内にある場合には、その場所で行われる盛土や埋立てについて、盛土規制法や福島県の土砂条例も関係します。
資源有効利用促進法上の500㎥という基準と、搬出先そのものに適用される盛土・埋立ての規制は別の制度です。搬出元で再生資源利用促進計画を作成していることだけをもって、搬出先が適正であるとは判断できません。
盛土規制法との関係
福島県内では令和6年9月24日までに全域で盛土規制法による規制が開始されています。規制区域内で対象規模以上の盛土等を行う場合は、盛土規制法による許可または届出が必要です。
福島県内の残土処分場や盛土場所へ建設発生土を搬出する場合は、その場所について必要な許可・届出がされているかを調べます。なお、福島市・郡山市・いわき市については各市が盛土規制法を所管し、それ以外の市町村は福島県が所管します。
盛土規制法の許可・届出の基準については、農地・土地開発サイトの「盛土規制法の規制内容と手続き・福島県の運用について解説」で詳しく解説しています。
福島県土砂条例との関係
福島県内では、「福島県土砂等の埋立て等の規制に関する条例」にも注意が必要です。現在の条例では、土地の埋立てを行う面積が3,000㎡以上の場合、許可を要しないものとして定められた場合を除き、県の許可が必要です。
この条例による規制は、資源有効利用促進法に基づく建設発生土の搬出先計画制度とは別の制度です。福島県内の搬出先を選ぶ際には、盛土規制法とあわせて、搬出先に県条例上必要な許可があるかも把握します。
建設発生土は搬出後まで管理する
建設発生土は産業廃棄物ではありませんが、工事現場から搬出した時点で元請業者の対応が終わるとは限りません。対象工事では、搬出前に計画を作成して搬出先の適正性を調べ、搬出後には受領書によって計画した場所へ運ばれたことを把握します。
さらに、計画した搬出先から建設発生土が再搬出された場合は、原則として最終搬出先まで追跡します。特にストックヤードを利用する場合は、登録の有無によって元請業者がその先まで追跡する必要があるかが変わります。
搬出量、搬出先に必要な許可等、ストックヤードの登録状況、受領書の交付までを工事前から把握し、搬出後の記録まで一連のものとして管理することが重要です。
建設発生土の搬出先確認や書類作成をサポートします
建設発生土を搬出する工事では、搬出量や搬出先を把握し、対象工事では再生資源利用促進計画を作成します。搬出後も受領書を取得し、再搬出された場合には最終搬出先まで把握しなければならないことがあります。
当事務所では、建設業者向けに「建設発生土の搬出先確認・書類作成支援」、ストックヤード事業者向けに「ストックヤード運営事業者登録・運用支援」に対応しています。
- 建設発生土の搬出先確認・書類作成支援
対象工事の判定、搬出先の調査、確認結果票・再生資源利用促進計画の作成、受領書や最終搬出先に関する記録の作成・管理など、工事の状況に応じて必要な範囲を支援します。 - ストックヤード運営事業者登録・運用支援
国土交通大臣への新規登録に必要な書類の作成から、登録後の搬出入記録、搬出先の確認、年報などの継続的な運用を支援します。
建設発生土の搬出先管理にどこまで対応すればよいか分からない場合や、ストックヤード運営事業者の登録・運用について支援が必要な場合は、当事務所までお問い合わせください。






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行政書士 佐藤勇太
