決算変更届におけるリフォーム工事の業種区分を行政書士が解説

記事更新日:

福島県の行政書士、佐藤勇太です。

決算変更届の工事経歴書を作成する際、リフォーム工事をどの業種に計上すればよいか、判断に迷うことがあります。「リフォーム工事」という名称の許可業種は存在せず、実際の施工内容から業種を判断する必要があるためです。

特に外壁改修工事では、外壁材の張替えだけでなく、既存外壁の撤去、胴縁や下地の施工、塗装、シーリングなど、複数の作業が1つの請負工事に含まれることがあります。

この記事では、外壁改修工事を中心に、天井・床改修工事や複数の工種が含まれる請負工事について、決算変更届における業種区分の考え方を解説します。

リフォーム工事の業種区分に関する基本的な考え方

 建設業許可の29業種の中に、「リフォーム工事」という業種は存在しません。リフォーム工事は既存建築物の改修を表す一般的な呼び方であり、実際の施工内容に応じて、建築一式工事または各専門工事に分類することになります。

契約書や請求書に「リフォーム工事一式」と記載されていても、その名称だけで工事経歴書の業種を決めることはできません。工事の目的、施工箇所、使用材料、施工方法などを確認し、一件の工事ごとに該当する業種を検討する必要があります。(国土交通省)

建築一式工事と専門工事の区分

 建築一式工事は、原則元請として、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事です。必ずしも2つ以上の専門工事の組合せが要件となるわけではなく、工事の規模や複雑性も踏まえて判断されます。

1つのリフォーム工事に外壁、内装、塗装、防水などが含まれていても、それだけで建築一式工事に該当するとは限りません。複数の工種を含むことと、建築一式工事に該当することは、分けて考える必要があります。

外壁、天井、床など建物の一部分を対象とする改修工事は、工事全体の目的や中心となる施工内容から、専門工事として取り扱うことが多いと考えられます。工事金額だけで建築一式工事か専門工事かが決まるものでもありません。

外壁改修工事の業種区分

外壁改修工事は、リフォーム工事の中でも業種判断に迷いやすい工事です。同じ「外壁改修工事」という名称でも、使用する外壁材や施工方法によって、該当する業種が異なることがあります。

既存外壁の撤去、胴縁や下地の施工、新しい外壁材の張付け、塗装、シーリングなどが一体となっている場合は、工事全体の目的と主たる施工内容を確認する必要があります。

サイディング工事の取扱い

 国土交通省が示す建設工事の例示では、「サイディング工事」はタイル・れんが・ブロック工事に含まれています。そのため、窯業系サイディングなどの外壁材を張り付ける工事は、タイル・れんが・ブロック工事として取り扱うことが基本になると考えられます。

既存外壁を撤去して新しいサイディングを張る場合だけでなく、既存外壁の上に新しい外壁材を重ねるカバー工法についても、使用材料や施工方法を確認したうえで業種を判断します。

鋼板・金属製外壁材の取扱い

 建築物の外壁にカラー鋼板やガルバリウム鋼板などを張り付ける工事は、一般に板金工事として取り扱われると考えられます。国土交通省の区分でも、建築物の外壁へのカラー鉄板の張付けは、建築板金工事の例として示されています。

金属製の波板を外壁に張る工事についても、板金工事として検討することになるでしょう。ただし、同じ金属製波板でも、屋根を葺くために使用した場合は、屋根工事に該当すると考えられます。

「金属系サイディング」と記載されている場合は、名称だけで直ちに業種を決めるのではなく、製品の材質、形状、施工方法なども確認する必要があります。サイディング工事と建築板金工事のいずれとして扱うか、判断に迷う場合もあります。

塗装・シーリング工事の取扱い

 外壁の塗替えを単独で請け負った工事は、塗装工事に区分されると考えられます。目地やサッシまわりのシーリング、いわゆるコーキングの打替えを単独で請け負った工事は、一般に防水工事として取り扱われます。

ただし、外壁材の張替えに伴って塗装やシーリングを施工した場合は、それぞれの金額を機械的に別業種へ分けるものとは限りません。一連の外壁改修工事として、主たる外壁工事の業種に含めて計上することを検討します。

例えば、既存外壁を撤去し、胴縁を取り付け、鋼板外壁を張ったうえで、シーリングや部分塗装を行った工事であれば、工事全体を板金工事として扱うことが考えられます。

一方、外壁材には手を加えず、外壁全体の塗替えと目地の打替えを行った工事では、見積金額、施工範囲、工事の目的などから、塗装工事と防水工事のどちらを主たる工事とするか検討する必要があります。

胴縁・下地工事の位置付け

 胴縁とは、外壁材を固定するとともに、外壁材の裏側に通気層を確保するために取り付ける下地材です。外壁材の張替えでは、既存外壁の撤去後に胴縁や下地材を施工し、その上に新しい外壁材を張る工程が多く見られます。

外壁材を張るために行う胴縁の取付けや下地の補修は、通常、外壁材の施工と一体となった作業です。そのため、胴縁や下地だけを取り出して大工工事とせず、完成させる外壁材に対応する業種へ工事全体を計上することが考えられます。

ただし、柱、間柱、構造用合板などの木造部分を広範囲に交換し、木造下地の修繕そのものが工事の中心となっている場合は、大工工事として判断する余地があります。

主たる工事の施工に伴って必要となる従たる工事(付帯工事といいます。)については、準備、施工、仕上げを通じて一連または一体の工事と認められるかどうかを、個別に検討する必要があります。

天井・床改修工事の業種区分

国土交通省が示す建設工事の例示では、天井仕上工事と床仕上工事はいずれも内装仕上工事に含まれています。そのため、天井材や床材の張替えを目的とする工事は、内装仕上工事として取り扱うことが基本になると考えられます。

既存天井の撤去、LGS下地の施工、石膏ボードや化粧板の張付けを一体として請け負った場合も、天井仕上工事として内装仕上工事に計上することが考えられます。LGSとは、壁や天井の骨組みに使用される軽量鉄骨下地をいいます。

木製下地を使用していても、天井面を仕上げることが工事の目的であれば、直ちに大工工事になるとは限りません。梁や野縁などの木造部分を造り直す工事が中心となる場合には、大工工事としての区分を検討します。

また、床工事についても、フローリング、ビニル床タイル、カーペットなどの床材を張り替える工事は、内装仕上工事として取り扱うことが基本です。根太、大引、床下地合板などの木造部分の修繕が中心であれば、大工工事に該当する可能性があります。

なお、軒天は建物外部の屋根の裏側に当たるため、室内の天井仕上工事と同じようには判断できません。木製下地、金属板張り、塗装など、実際の材料と施工内容から業種を検討することになります。

複数の工種を含む請負工事の取扱い

 1件の請負工事の中に、外壁材の張替え、下地工事、塗装、シーリングなどが含まれているケースは珍しくありません。この場合、同じ工事を複数の業種に重複して計上することはできません。

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでも、工事経歴書は建設工事の種類ごとに作成し、他の建設工事と二重に計上できないことが示されています。建築一式工事として請け負った工事を、管工事や電気工事などに分割して重複計上することも認められていません。

外壁改修工事のように複数の作業が一連・一体となっている場合は、契約の目的、完成する工事の内容、見積書における各工種の比重、附帯工事との関係などを確認します。

そのうえで、工事全体の中心となる業種に請負金額を計上することが考えられます。ただし、具体的な計上方法については、各工事の契約内容や許可行政庁の取扱いも確認する必要があります。

同じ現場で行われた工事であっても、注文や請負契約が別に行われ、それぞれが独立した工事として施工されている場合は、各契約の内容に応じて別々に業種を判断することになります。

決算変更届における工事内容の確認

 決算変更届の工事経歴書を作成する際は、工事名だけで業種を判断しないことが重要です。「外壁リフォーム工事」「建物改修工事」といった名称は工事の概要を表すものであり、それだけでは建設業許可上の業種を確定できません。

請負契約書、注文書、見積書、請求書などから、工事の目的、施工箇所、使用材料、施工方法を確認します。請求書の記載だけでは判断できない場合は、工事写真や材料名なども確認した方がよいでしょう。

1つの請求書に複数の工事項目が記載されていても、項目ごとに別々の業種へ分ければよいとは限りません。1件の請負工事として、何を完成させることが契約の目的であったのかを確認する必要があります。

経営事項審査・入札参加まで見据えた業種判断を

 決算変更届における業種区分は、建設業許可の取得や毎年度の届出だけに関係するものではありません。経営事項審査では、完成工事高などが業種ごとに審査されるため、計上する業種の判断が審査結果にもつながっていきます。

公共工事の入札参加資格審査では、経営事項審査の結果などを用いて、建設業者の順位や格付けが行われることがあります。そのため、どの工事をどの業種の完成工事高として計上するかは、将来の経営事項審査や入札参加資格申請にも関係する重要な判断です。

リフォーム工事は、1つの工事に複数の作業が含まれやすく、工事名だけでは業種を判断できないことが少なくありません。決算変更届の段階から資料を確認し、実際の施工内容に即した業種への計上を検討する必要があります。

もっとも、建設工事の業種区分は、契約内容、施工方法、使用材料などによって判断が分かれる場合があります。最終的な取扱いについては、許可行政庁である主たる営業所を管轄する建設事務所に確認することが適切です。

福島県でも、決算変更届は主たる営業所を所管する建設事務所に提出する取扱いとなっています。各建設事務所の連絡先は以下のとおりです。

主たる営業所の所在地 問い合わせ及び書類の提出先 電話番号
福島市、二本松市、 伊達市、本宮市、 伊達郡、安達郡 県北建設事務所 行政課
〒960-8670
福島市杉妻町2-16 (福島県庁北庁舎6階)
電話 024-521-2498
Fax 024-521-2849
郡山市、須賀川市、 田村市、田村郡、 岩瀬郡、石川郡 県中建設事務所 行政課
〒963-8540
郡山市南一丁目94
電話 024-935-1329
Fax 024-935-1544
白河市、西白河郡 、東白川郡 県南建設事務所 行政課
〒961-0971
白河市昭和町269
電話 0248-23-1616
Fax 0248-23-1504
会津若松市、大沼郡、 河沼郡 会津若松建設事務所 行政課
〒965-8501
会津若松市追手町7-5
電話 0242-29-5427
Fax 0242-29-5413
喜多方市、耶麻郡 喜多方建設事務所 行政課
〒966-0901
喜多方市松山町鳥見山字下天神6-3
電話 0241-24-5713
Fax 0241-24-5729
南会津郡 南会津郡南会津建設事務所 総務課
〒967-0004
南会津郡南会津町田島字根小屋甲4277-1
電話 0241-62-5306
Fax 0241-62-5340
相馬市、南相馬市 双葉郡、相馬郡 相双建設事務所 行政課
〒975-0031
南相馬市原町区錦町1丁目30
電話 0244-26-1207
Fax 0244-26-1334
いわき市 いわき建設事務所 行政課
〒970-8026
いわき市平字梅本15
電話 0246-24-6109
Fax 0246-24-6058

当事務所では、請負契約書、注文書、見積書、請求書などの資料を確認し、必要に応じて管轄の建設事務所へ確認したうえで、決算変更届の作成・提出をサポートしています。リフォーム工事の業種判断や工事経歴書の作成でお困りの場合は、当事務所までご相談ください。

 

福島県内の建設業許可に関する相談のご予約

対面でのご相談、Zoomなどのオンラインでのご相談をご希望の方は、お電話またはメールにてお問い合わせください。できる限り早く面談の時間を設定させていただきます。

お電話・メールでの無料相談は承っておりません。あらかじめご了承ください。

お電話での相談のご予約

「建設業許可のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-18:00(土日祝休)
メールでの相談のご予約・お問い合わせ

メールは365日、24時間承っております(返信は通常1~2営業日中に送信いたします)

    行政書士佐藤勇太事務所(以下、「当事務所」という。)は、当サイトの来訪者の個人情報について、以下のとおりプライバシーポリシーを定めます。

    1.事業者情報

    事務所名:行政書士佐藤勇太事務所
    住  所:福島県二本松市大壇157番地1
    代  表:行政書士 佐藤勇太

    2.個人情報の取得方法

    当事務所は、来訪者がお問い合わせフォームから送信する際に、氏名・電話番号・メールアドレスを取得させていただきます。

    3.個人情報の利用目的

    お問い合わせへの対応とその後の相談、業務の遂行、アフターサービスのために利用させていただきます。
    また、当サイト内で「このようなお問合せがありました」と紹介させていただく場合もあります。

    4.個人データを安全に管理するための措置

    当事務所は、個人情報を正確かつ最新の内容に保つよう努め、不正なアクセス・改ざん・漏えい・滅失及び毀損から保護するための措置を講じます。

    5.個人データの第三者提供について

    当事務所は、法令及びガイドラインに別段の定めがある場合を除き、同意を得ないで第三者に個人情報を提供することは致しません。

    6.保有個人データの開示、訂正

    当事務所は、本人から個人情報の開示を求められたときには、遅滞なく本人に対しこれを開示します。
    個人情報の利用目的の通知や訂正、追加、削除、利用の停止、第三者への提供の停止を希望される方は当事務所までご連絡ください。

    7.個人情報取り扱いに関する相談や苦情の連絡先

    当事務所の個人情報の取り扱いに関するご質問やご不明点、苦情、その他のお問い合わせは、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

    8.Google Analyticsの利用について

    当サイトではホームページの利用状況を把握するためにGoogle Analyticsを利用しています。そのためGoogle Analyticsから提供されるCookie を使用していますが、Google Analyticsによって個人を特定する情報は取得していません。

    9.免責事項

    当サイトに掲載されている情報の正確性には万全を期していますが、利用者が当サイトの情報を用いて行う一切の行為に関して、一切の責任を負わないものとします。
    当事務所は、利用者が当サイトを利用したことにより生じた利用者の損害及び利用者が第三者に与えた損害に関して、一切の責任を負わないものとします。

    10.著作権・肖像権

    当サイト内の文章や画像、すべてのコンテンツは著作権・肖像権等により保護されています。無断での使用や転用は禁止されています。

    2023年5月1日制定

    ページトップへ戻る