
建設工事で発生したがれき類や木くずなどを、工事現場から会社の資材置場や自社敷地へ持ち帰ることがあります。自社の工事で出た産業廃棄物であっても、工事現場外で保管する場合には、廃棄物処理法上の基準を守る必要があります。
自社置場では、囲いや掲示板の設置、飛散・流出の防止などの保管基準が適用されます。また、保管できる量には上限があり、保管場所の面積などによって届出も必要です。
福島県では、300㎡以上の保管に対する廃棄物処理法上の届出に加え、県条例による届出制度も設けられています。この記事では、自社置場での保管基準、保管量の上限、届出手続、下請業者が運搬する場合の注意点を解説します。
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工事で出た廃棄物を自社置場へ持ち帰る場合
建設工事に伴って生じた廃棄物について、排出事業者となるのは元請業者です。実際の施工を下請業者が行った場合も、発注者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者となります。
環境省の「建設廃棄物処理指針」でも、建設工事では元請業者が排出事業者に該当し、自らの責任で建設廃棄物を適正に処理することが示されています。
元請業者が、自ら排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。ただし、運搬方法や工事現場外での保管について、廃棄物処理法上の基準を守る必要があります。
工事現場から自社置場へ運び、そこで一時的に保管する行為は「運搬に伴う保管」として扱われます。環境省の指針でも、工事現場以外で保管する場合には、積替えのための保管基準が適用されることが示されています。
自社置場で守る産業廃棄物の保管基準
自社所有の土地や資材置場であっても、産業廃棄物を自由な方法で置いてよいわけではありません。工事現場外で保管する場合には、廃棄物の飛散や流出などを防ぐための設備と管理が必要です。
主な保管基準は次のとおりです。
- 保管場所の周囲に囲いを設ける
- 見やすい場所に掲示板を設置する
- 産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透を防止する
- 悪臭が発散しないよう必要な措置を講じる
- 汚水が生じるおそれがある場合は、排水設備や不浸透性の底面などを設ける
- ねずみの生息や蚊、はえなどの害虫の発生を防止する
- 屋外で容器を使わずに保管する場合は、積上げ高さの基準を守る
廃棄物の種類や保管方法によって必要な設備は変わります。例えば、がれき類であれば崩壊や粉じんへの対策、木くずなどの可燃物であれば火災への対策も考える必要があります。
囲いは廃棄物の荷重にも耐えられる構造にする
保管場所には周囲を区画する囲いが必要です。産業廃棄物を囲いに接して積み上げ、廃棄物の荷重が囲いにかかる場合には、その荷重に耐えられる構造でなければなりません。
単に敷地全体がフェンスで囲われているから足りるとは限りません。どの範囲を産業廃棄物の保管場所とするのかを明確にし、その保管方法に適した囲いを設けます。
掲示板は縦横それぞれ60cm以上
保管場所には、外部から見やすい位置に掲示板を設けます。掲示板は、縦・横それぞれ60cm以上の大きさが必要です。
掲示板には、産業廃棄物の保管場所であることに加え、主に次の事項を表示します。
- 保管する産業廃棄物の種類
- 保管場所の管理者の氏名または名称
- 管理者の連絡先
- 屋外で容器を用いずに保管する場合の最大積上げ高さ
- 運搬に伴う保管の場合の保管上限
掲示板を設置した後も、保管する品目や管理者などが変わった場合には、実際の保管状況と表示内容を一致させておく必要があります。

屋外では積上げ高さにも基準がある
がれき類や木くずなどを屋外で容器に入れずに保管する場合には、廃棄物を積み上げられる高さにも制限があります。
囲いに廃棄物を接触させない場合と、囲いに接触させて荷重をかける場合では基準が異なります。囲いからの距離と勾配によって高さを算定するため、大量の廃棄物を山積みにする場合には注意が必要です。
自社置場に保管できる量には上限がある
工事現場から自社置場へ運んだ産業廃棄物は、処分先へ搬出するまで無制限に保管できるものではありません。運搬に伴う保管には、保管数量の上限があります。
原則として、保管できる量は、その保管場所における1日当たりの平均的な搬出量の7日分までです。平均的な搬出量は、原則として前月の総搬出量を前月の日数で割って算定します。
例えば、置場から処理施設へ搬出する量が平均して1日2㎥であれば、保管上限の目安は14㎥となります。新たに保管場所を使い始める場合など、前月の実績がないときは計画搬出量を用います。
したがって、自社置場を廃棄物の長期的な保管場所として使用することは想定されていません。搬入量に対して搬出量が極端に少ない状態が続けば、積替えのための保管の範囲を逸脱していると判断される可能性があります。
300㎡以上の事業場外保管は事前届出が必要
建設工事に伴って生じた産業廃棄物を、工事現場以外の場所で排出事業者が自ら保管する場合、保管場所の面積が300㎡以上であれば、あらかじめ都道府県知事等への届出が必要です。
ここでいう300㎡は、工事現場の面積や会社の敷地全体の面積ではなく、「保管の用に供される場所」の面積が基準になります。具体的な保管区画の取り方について判断に迷う場合には、保管場所を管轄する行政庁に相談しておく方がよいでしょう。
福島県では、届出の際に保管場所を使用する権原を示す書類、平面図、付近の見取図などが必要とされています。非常災害のために必要な応急措置として保管した場合には、保管開始から14日以内の事後届出となります。
福島県では300㎡未満にも条例による届出がある
福島県では、廃棄物処理法による届出とは別に、「福島県産業廃棄物等の処理の適正化に関する条例」による事業場外保管の届出制度があります。
県条例では、事業者が自ら産業廃棄物を運搬し、排出事業場の外で保管する場合について届出を定めています。この制度には、保管場所について「○㎡以上」という下限面積が設けられていません。
建設工事に伴う産業廃棄物について、福島県所管区域での届出関係を表にすると次のようになります。
| 保管場所の面積 | 主な届出の根拠 | 届出時期 |
|---|---|---|
| 300㎡以上 | 廃棄物処理法 | 原則として保管開始前 |
| 300㎡未満 | 福島県産業廃棄物等の処理の適正化に関する条例 | 原則として保管開始前 |
県条例の施行規則では、300㎡以上の建設廃棄物の保管を条例による届出対象から除外しています。300㎡以上は廃棄物処理法、300㎡未満は県条例という形で、事業場外保管を把握する制度になっています。
そのため、「置場が300㎡未満だから届出は必要ない」と判断することはできません。福島県条例には下限面積がないため、小規模な保管場所であっても、他の適用除外に該当しなければ届出の対象になります。
福島県のホームページでは、法と条例の両方について、届出様式や添付書類、提出先が掲載されています。
福島県「排出した事業場の外において、自ら保管を行おうとする場合の届出」
なお、この県条例による届出については、福島市、郡山市、いわき市は県の所管区域ではありません。3市に保管場所を設ける場合には、それぞれの市へ問い合わせる必要があります。
下請業者が自社置場へ持ち帰る場合は扱いが異なる
ここまで説明したのは、排出事業者である元請業者が、自ら排出した産業廃棄物を自社置場へ運搬して保管する場合が中心です。
下請業者が工事現場で発生した廃棄物を、自社のトラックで自社置場へ持ち帰る場合には、同じようには考えられません。建設工事の廃棄物は元請業者の廃棄物であり、下請業者にとっては他人の産業廃棄物となるためです。
廃棄物処理法には、500万円以下の一定の維持修繕工事などについて、下請負人が許可なく運搬できる特例があります。ただし、1回の運搬量が1㎥以下であること、運搬先が元請業者の所有権または使用権原のある施設であること、運搬途中に保管しないことなど、複数の条件があります。
したがって、下請業者が「自社の資材置場だから」という理由だけで、元請工事から出た産業廃棄物を持ち帰って保管できるわけではありません。元請業者による自己運搬・自己保管とは分けて判断する必要があります。
自社置場で保管する前に確認しておきたい事項
工事現場外の自社置場で産業廃棄物を保管するのであれば、保管場所を設ける段階で、保管方法から最終的な搬出までを考えておくことが重要です。
少なくとも、次の事項は事前に把握しておく必要があります。
- 誰が排出事業者となる工事の廃棄物なのか
- どの種類の産業廃棄物を保管するのか
- 誰が工事現場から置場まで運搬するのか
- 囲い、掲示板、飛散・流出防止措置が基準を満たしているか
- 最大積上げ高さと保管数量が基準内に収まるか
- 保管場所の面積は何㎡になるか
- 廃棄物処理法または県条例による届出が必要か
- どの処理施設へ、どの程度の頻度で搬出するのか
特に福島県では、300㎡未満の小規模な自社置場にも県条例による届出制度があるため、全国共通の「300㎡以上」という基準だけで届出の要否を判断することはできません。
また、自社の廃棄物ではなく他社の産業廃棄物を収集・運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業許可の問題も生じます。当事務所では、福島県における産業廃棄物収集運搬業許可申請を取り扱っています。サービス内容や費用などについては、下記のページをご覧ください。




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行政書士 佐藤勇太
