
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた後に、役員が交代した、会社の所在地が変わった、運搬車両を追加したといった変更はないでしょうか。許可取得後に一定の事項が変わった場合には、変更届を提出する必要があります。
また、取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合は、変更届ではなく事業範囲変更許可が必要です。反対に、許可品目を減らす場合は事業の一部廃止の届出となるため、変更内容によって必要な手続きが異なります。
変更届には提出期限があり、更新許可申請とも別個の手続きです。この記事では、産業廃棄物収集運搬業の変更届が必要となる主なケース、事業範囲変更許可との違い、提出期限について、福島県での手続きも含めて行政書士が解説します。
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変更届と事業範囲変更許可は別の手続き
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後に変更があった場合、まず調べる必要があるのは、変更届で対応できるのか、それとも事業範囲変更許可(事前の許可申請)が必要なのかという点です。変更内容によって、必要となる手続きの時期も異なります。
廃棄物処理法第14条の2第1項では、産業廃棄物収集運搬業者が事業の範囲を変更しようとするときは、事前に都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。ただし、その変更が事業の一部の廃止である場合は、変更許可の対象とはなりません。
代表的な変更と必要な手続きは、次のとおりです。提出期限については、法人で登記事項証明書を添付すべき変更届は30日以内、それ以外は10日以内が基本となります。
| 変更内容 | 必要な手続き | 期限・時期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 法人の役員の変更 | 変更届 | 変更の日から30日以内 | 登記事項証明書の添付が必要。欠格要件にも注意 |
| 一定の株主・出資者、政令使用人等の変更 | 変更届 | 原則10日以内。登記事項証明書を添付すべき場合は30日以内 | 変更する者に応じて添付書類が異なる |
| 法人の名称、本店所在地の変更 | 変更届 | 変更の日から30日以内 | 登記事項証明書を添付 |
| 運搬車両の追加・入替え・廃止 | 変更届 | 変更の日から10日以内 | 車検証関係書類、写真等を添付 |
| 許可を受けていない産業廃棄物の種類を追加 | 事業範囲変更許可 | 追加品目を取り扱う前 | 変更許可後に取り扱い可能 |
| 取り扱う産業廃棄物の種類を減らす | 事業の一部廃止の届出 | 廃止の日から10日以内 | 事業範囲を拡大する変更ではない |
収集運搬業の「事業の範囲」とは
変更届と事業範囲変更許可を区別するには、「事業の範囲」が何を指しているのかを知っておく必要があります。環境省は、産業廃棄物収集運搬業の事業の範囲について、取り扱う産業廃棄物の種類と、積替え・保管を行うかどうかを明らかにするものとしています。
積替え・保管を伴う収集運搬業には、通常の収集運搬業とは異なる論点があります。この記事では、福島県内でも一般的な積替え・保管を行わない収集運搬業を中心に説明します。
許可品目を増やす場合は事業範囲変更許可申請
例えば、現在の許可証に「廃プラスチック類、金属くず」と記載されている会社が、新たに「木くず」も収集運搬したい場合を考えてみます。木くずを追加することは、取り扱う産業廃棄物の種類、つまり事業の範囲を広げることになります。
この場合は変更届では対応できず、事業範囲変更許可を受ける必要があります。申請書を提出した段階では追加した品目を取り扱うことはできず、変更許可を受けてから収集運搬を開始します。
許可品目を減らす場合は一部廃止の届出
反対に、現在許可を受けている産業廃棄物の一部を今後取り扱わない場合は、事業範囲を拡大するものではありません。廃棄物処理法では事業の全部または一部を廃止した場合の届出が定められているため、一部廃止として手続きを行います。
そのため、同じ許可品目の変更でも、品目を増やす場合と減らす場合では手続きが異なります。増やす場合は事前に変更許可を受け、減らす場合は廃止後に届出を行うという違いがあります。
変更届が必要となる主なケース
産業廃棄物収集運搬業の許可申請書や添付書類には、会社の基本情報のほか、役員等の人的構成、事務所・事業場、運搬車両などに関する事項が記載されています。これらのうち、法令で定められた事項に変更が生じた場合には、変更届が必要です。
変更内容によって、変更届に添付する書類も変わります。会社の登記に関係する変更と、車両などの施設に関係する変更では、提出期限についても分けて考える必要があります。
役員や一定の株主等が変わった場合
法人の代表取締役や取締役などに変更があった場合は、変更届が必要です。役員変更については法人の登記事項証明書を添付するための期間が必要であるため、変更の日から30日以内に届け出ます。
また、発行済株式総数の5%以上の株式を有する株主、または出資額の5%以上に相当する出資をしている者も、許可手続き上の対象となります。政令で定める使用人を置いている場合には、その者の変更についても届出の対象です。
役員を変更する際には、新たに就任する役員が廃棄物処理法上の欠格要件に該当していないか、就任前に十分に調べておくことが重要です。法人の役員が欠格要件に該当すると許可そのものに重大な影響が及ぶため、役員を選任する段階から注意する必要があります。
なお、福島県の現行チェックリストでは、届出者が法人の場合、法定代理人、株主・出資者、政令使用人の変更についても履歴事項全部証明書を添付書類として掲げています。
福島県知事許可について実際に届出を行う場合は、変更内容に対応する最新のチェックリストを用いて期限と添付書類を見るのが確実です。
法人の名称や本店所在地を変更した場合
法人の名称や本店所在地を変更した場合も、変更届の対象となります。法人の名称、本店所在地、代表取締役や取締役の変更など、法人の登記事項証明書を添付する変更届は、変更の日から30日以内に提出します。
運搬車両を追加・入替えした場合
収集運搬業者では、トラックの増車、買替え、リース車両への変更など、許可取得後に運搬車両が変わることがあります。運搬車両を追加、入替え、廃止した場合は変更届の対象となり、変更の日から10日以内に届け出ます。
2023年1月から自動車検査証が電子化され、福島県では電子車検証が発行された車両について「自動車検査証記録事項」を添付するよう案内しています。詳しくは、福島県の「自動車検査証の電子化に伴う添付書類について」をご覧ください。
事務所や駐車場等を変更した場合
事務所や事業場、収集運搬車両を保管する駐車場などを変更した場合にも、変更届の対象となります。所在地だけを変更した場合と、車両の追加・入替えも同時に行った場合では、変更事項をそれぞれ確認して必要書類を用意します。
福島県では変更届のチェックリストを公開しており、変更内容ごとに必要な添付書類を示しています。届出を作成する際は、過去に使用した書類をそのまま流用せず、現在公開されている様式とチェックリストを使用するのがよいでしょう。
変更届には10日または30日の提出期限がある
産業廃棄物収集運搬業の変更届は、変更の日から10日以内に提出するのが原則です。ただし、法人で登記事項証明書を添付すべき変更届については、変更の日から30日以内とされています。
この期限を過ぎないよう、変更が生じた時点で必要な届出と添付書類を把握しておくことが重要です。
変更届は更新許可申請まで待つことはできない
「もうすぐ産業廃棄物収集運搬業の更新があるので、そのときに新しい役員や住所、車両を記載すればよい」とお考えになるかもしれません。しかし、変更届と更新許可申請は別個の手続きであり、更新許可申請によって変更届を済ませることはできません。
例えば、運搬車両を追加した場合は、変更の日から10日以内に変更届を提出する必要があります。10日の期限を過ぎても届け出ていなければ、変更届の提出義務を履行していない状態となるため、更新時期が近いことを理由に変更届を先送りすることはできません。
更新許可申請書に現在の車両、役員、所在地を記載しても、過去に必要となった変更届を提出したことにはなりません。変更が生じたときは変更届を期限内に行い、更新時期を迎えたときには別に更新許可申請を行います。
複数の自治体から許可を受けている場合
産業廃棄物収集運搬業では、福島県だけでなく、宮城県、山形県、栃木県、茨城県など複数の自治体から許可を受けている会社もあります。代表者、役員、本店所在地など複数の許可に共通して関係する事項が変わった場合には、それぞれの許可について必要な変更届を行います。
例えば福島県と宮城県の許可を受けている会社で取締役が交代した場合、福島県に変更届を提出したことで他県の変更届まで完了するものではありません。
複数の許可を持つ会社では、変更が生じたときに自社の許可証を見て、手続きが必要となる許可行政庁を把握しておくことが重要です。
福島県で変更届を提出する場合
福島県知事許可について、本社が福島県内にある事業者は、本社を管轄する地方振興局に変更届を提出します。本社が県外であっても、福島県内に廃棄物関係の業務を行う事務所や営業所等がある場合は、主たる事務所等を管轄する地方振興局が窓口です。
地方振興局の所在地と連絡先は次のとおりです。管轄市・郡は地域を把握しやすいよう併記しており、県中地方振興局については2026年6月22日の移転後の所在地を掲載しています。
| 窓口 | 管轄市・郡 | 所在地 | 電話番号 |
|---|---|---|---|
| 県北地方振興局 県民環境部環境課 | 福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡 | 〒960-8670 福島市杉妻町2-16 北庁舎4階 | 024-521-2722 |
| 県中地方振興局 県民環境部環境課 | 郡山市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、石川郡、田村郡 | 〒963-8540 郡山市南一丁目94番地 | 024-935-1502 |
| 県南地方振興局 県民環境部環境課 | 白河市、西白河郡、東白川郡 | 〒961-0971 白河市昭和町269 | 0248-23-1421 |
| 会津地方振興局 県民環境部環境課 | 会津若松市、喜多方市、耶麻郡、河沼郡、大沼郡 | 〒965-8501 会津若松市追手町7-5 | 0242-29-3908 |
| 南会津地方振興局 県民環境部県民環境課 | 南会津郡 | 〒967-0004 南会津郡南会津町田島字根小屋甲4277-1 | 0241-62-2061 |
| 相双地方振興局 県民環境部環境課 | 相馬市、南相馬市、相馬郡、双葉郡 | 〒975-0031 南相馬市原町区錦町1-30 | 0244-26-1237 |
| いわき地方振興局 県民部県民生活課 | いわき市 | 〒970-8026 いわき市平字梅本15 | 0246-24-6203 |
この表は福島県知事に対する手続きを行う場合の地方振興局を把握するためのものです。福島市長、郡山市長、いわき市長から許可を受けている場合には、県知事許可とは提出先が異なるため、手元の許可証に記載された許可行政庁を確認する必要があります。
県外事業者は提出方法によって窓口が異なる
本社が福島県外にあり、福島県内に廃棄物関係の事務所や営業所等を持たない事業者が変更届だけを提出する場合は、福島県生活環境部産業廃棄物課が窓口です。この場合、福島県は正本・副本各1部の合計2部を提出するよう案内しています。
これに対し、県内に事業所を持たない県外事業者が、新規・更新・事業範囲変更の許可申請と変更届を窓口で同時に提出する場合は、一般社団法人福島県産業資源循環協会に申請書と併せて変更届を提出します。
変更届だけを提出する場合と、許可申請に併せて窓口提出する場合では取扱いが異なるため注意が必要です。
福島県では郵送による変更届も可能
福島県では、変更届を郵送で提出することもできます。郵送する場合は、切手を貼った副本の返信用封筒を同封するよう県から案内されています。
また、許可証の記載事項に関する変更では許可証の書換えが行われます。この場合は、副本用と許可証用の返信用封筒を2枚同封する必要があります。
福島県知事許可の変更届に使用する様式やチェックリストは、福島県の「産業廃棄物処理業廃止・変更届出書について」から入手できます。届出を行う際には、現在公開されている資料を使用してください。
許可取得後の変更も期限を意識して対応する
産業廃棄物収集運搬業の許可取得後に会社の状況が変わった場合は、変更内容によって必要な手続きが決まります。
役員、本店所在地、事務所、駐車場、運搬車両などの変更では変更届が中心となり、現在の許可にない産業廃棄物を新たに取り扱う場合には事業範囲変更許可が必要です。
変更届には10日または30日の提出期限があり、更新許可申請まで待つことはできません。複数の自治体から許可を受けている会社では、変更がそれぞれの許可に関係するかどうかも見ておく必要があります。
当事務所では、福島県知事の産業廃棄物収集運搬業許可について、新規・更新許可申請のほか、許可取得後の変更手続きにも対応しています。
変更届で対応するのか、事業範囲変更許可が必要なのか分からない場合も、現在の許可内容と変更事項を照合したうえで行政書士本人が対応します。
産業廃棄物収集運搬業許可についてのサービス内容は、当事務所の「福島県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたい方へ」をご覧ください。許可取得後の変更についても、現在の許可内容に応じて必要な手続きを検討いたします。




事務所横に1台分の駐車場をご用意しております。
行政書士 佐藤勇太
