
建設業で外国人を雇用する場合は、まず「どのような仕事を任せるのか」を検討し、その仕事に対応する在留資格を選ぶ必要があります。現場作業を任せる場合と、施工管理や設計などの技術職として採用する場合では、利用できる在留資格が異なります。
特に、建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合には、建設業許可、建設キャリアアップシステムへの登録、JACへの加入、建設特定技能受入計画の認定など、建設業独自の条件があります。
この記事では、建設会社が外国人を採用するときに確認すべき在留資格、受入条件、採用から就労開始までの手続き、雇用後の届出や在留管理について解説します。
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任せる仕事から在留資格を確定する
建設会社が外国人を採用するときは、まず「どのような仕事を任せるのか」を決める必要があります。在留資格によって、日本で行うことができる仕事の範囲が異なるからです。
例えば、建設現場で技能者として働いてもらう場合と、施工管理や設計などの技術者として採用する場合では、検討する在留資格が異なります。また、2027年4月1日からは、技能実習制度に代わる育成就労制度が始まります。
建設会社が外国人を雇用する際に検討すべき主な在留資格・制度は、次のとおりです。
| 任せる仕事 | 主な在留資格・制度 | 利用できる時期 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 建設現場で技能者として働いてもらう | 特定技能 | 現在利用可能 | 建設分野独自の受入条件を満たす必要がある |
| 施工管理・設計・測量などを担当してもらう | 技術・人文知識・国際業務 | 現在利用可能 | 学歴や職歴と担当する業務との関連が必要 |
| 外国人を雇用しながら技能を身につけてもらう | 育成就労 | 2027年4月1日から | 建設分野の受入基準を満たす必要がある |
建設現場で技能者として雇用するなら特定技能
建設現場で実際の作業に従事する外国人を雇用する場合には、在留資格「特定技能」が主な選択肢になります。
建設分野の特定技能では、外国人が従事する業務が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの業務区分に分けられています。
そのため、それぞれの業務区分に応じて、土木施設や建築物の新設・改築・修繕、電気・ガス・水道などの設備の整備や設置といった作業に従事することができます。
特定技能外国人を受け入れる建設会社にも、建設分野独自の条件が設けられています。具体的な受入条件については、次章で説明します。
なお、主たる業務に付随して、作業準備、運搬、片付けなど、その業務に従事する日本人が通常行う関連業務を担当することもできます。ただし、関連業務だけに専ら従事させることは認められていません。
施工管理や設計を任せるなら技術・人文知識・国際業務
次に、施工管理、設計、測量などの技術的な仕事を任せる場合には、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が考えられます。
国土交通省の「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格により働く外国人建設技術者の例として、施工管理技術者、設計技術者、測量技師などが挙げられています。
この在留資格では、大学や専門学校などで学んだ内容や実務経験と、実際に担当する業務との関連性が重要になります。また、技能者と同じような建設作業を主な仕事として行うことはできません。
例えば、施工管理技術者として採用した外国人を、人手が不足しているという理由で技能者と同じように現場作業へ従事させると、認められた在留資格の活動範囲から外れるおそれがあります。
採用時には「建設会社で働くことができるか」だけで判断するのではなく、実際に担当してもらう仕事内容まで確認する必要があります。
2027年4月から育成就労制度が始まる
育成就労制度は、人手不足分野における人材の育成と確保を目的として、外国人を原則3年間就労させながら、特定技能1号の水準まで育成する制度です。
そのため、すでに一定の技能を持つ外国人を採用する特定技能と、外国人を雇用しながら技能を身につけてもらう育成就労では、制度の目的や利用する場面が異なります。
なお、育成就労制度は2027年4月1日から始まるため、現時点ですぐにこの制度を利用して外国人を就労させることはできません。これから外国人技能者の採用を検討する会社は、採用する時期も踏まえて特定技能と育成就労の違いを確認する必要があります。
また、現在技能実習生を受け入れている会社については、育成就労制度への移行に伴う経過措置が設けられています。
すでに日本にいる外国人を採用する場合
ところで、外国人を雇用するために、必ず特定技能や育成就労を利用しなければならないわけではありません。
「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人には、在留資格による就労活動の制限がありません。そのため、建設現場での作業を含め、職種による在留資格上の制限を受けずに働くことができます。
すでに日本国内に住んでいる外国人を採用する場合には、新しい在留資格を検討する前に、まず在留カードで現在の在留資格を確認するとよいでしょう。
一方、「留学」や「家族滞在」の在留資格は、そのままでは原則として就労することができません。資格外活動許可を受けている場合には、原則として1週間に28時間以内の範囲でアルバイトとして働くことができます。
建設会社が外国人を採用するときは、任せる仕事と現在の在留資格を踏まえ、必要となる在留資格や受入制度を決めることが重要です。
特定技能外国人を受け入れる建設会社の条件
さて、建設分野で特定技能外国人を受け入れるためには、外国人本人が在留資格の要件を満たすことに加えて、受入企業にも一定の条件が設けられています。
特に、建設業許可、建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入は、建設特定技能受入計画を申請する前に済ませておく必要があります。
なお、受入企業が取得している建設業許可の業種と、特定技能外国人の業務区分が直接一致していることまでは求められていません。ただし、外国人に従事させる工事は、その外国人について認められた業務区分の範囲に含まれている必要があります。
また、受け入れる1号特定技能外国人の人数にも上限があります。まずは自社がこれらの条件を満たせるかを見たうえで、採用を進めることになります。
建設業許可・CCUS・JACへの加入が必要
特定技能外国人を建設分野で受け入れる会社は、建設業法第3条に基づく建設業許可を受けている必要があります。したがって、軽微な建設工事だけを請け負っている無許可業者は、まず建設業許可の取得が必要です。
また、建設キャリアアップシステムへの事業者登録も必要です。建設特定技能受入計画を申請する時点で事業者登録が完了している必要があり、登録申請中の状態では受入計画を申請できません。
JACへの加入方法には、JACの正会員である建設業者団体に加入する方法と、受入企業がJACの賛助会員になる方法があります。建設特定技能受入計画を申請する際には、いずれかの方法で加入済みであることを証する書類が必要です。
そのため、これから特定技能外国人を採用する会社では、外国人を探し始めるのと並行して、建設業許可の有無、CCUSの事業者登録、JACへの加入状況を確認しておくとよいでしょう。
また、建設分野の特定技能外国人は、1号・2号とも受入企業による直接雇用に限られます。労働者派遣などの対象とすることはできず、違反した場合は以後5年間、特定技能外国人を受け入れることができないとされています。
1号特定技能外国人の受入人数には上限がある
建設分野では、1号特定技能外国人の受入人数に上限が設けられています。具体的にいえば、受入企業の1号特定技能外国人の人数は、常勤職員数を超えることができません。
なお、この常勤職員数を算定する際には、1号特定技能外国人、技能実習生、特定活動(特定技能移行予定等)の外国人などは除かれます。
また、過去5年間に一定の建設業法上の監督処分を受けていないことや、特定技能外国人と同じ職種についてハローワークで正社員の募集を行っていることなど、建設特定技能受入計画には複数の認定基準があります。
国土交通省の「建設特定技能受入計画における主な認定条件」には、受入企業に求められる主な条件が示されています。
実際に外国人を受け入れるためには、これらの条件を満たしたうえで、国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があります。受入計画の申請については、外国人を採用して就労を開始するまでの手続きの章で説明します。
1号特定技能外国人には支援が必要
1号特定技能外国人を受け入れる場合には、1号特定技能外国人支援計画を作成し、職業生活、日常生活、社会生活上の支援を行います。支援は受入企業が行うほか、登録支援機関へ委託することもできます。
ただし、受入企業が自社で支援を行うには、過去2年間に中長期在留者の受入れ実績があることなどの要件を満たす必要があります。そのため、初めて外国人を雇用する会社では、登録支援機関へ委託することが多くなります。
育成就労制度の開始に伴う技能実習の経過措置
育成就労制度が始まる2027年4月1日を境に、すべての技能実習が一斉に終了するわけではありません。一定の要件を満たす技能実習生については、経過措置により制度開始後も技能実習を続けることができます。
そのため、制度開始後は技能実習と育成就労が一定期間併存することになります。現在技能実習生を受け入れている建設会社では、技能実習生が2027年4月1日時点でどの段階にいるのかによって、その後の取扱いが変わります。
一定の場合は技能実習の継続が可能
2027年4月1日時点ですでに来日している技能実習生は、原則として認定を受けた技能実習計画に基づいて実習を続けることができます。また、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請が行われ、原則として同年6月30日までに技能実習を開始する場合にも、経過措置の対象となります。
なお、詳しい経過措置については、出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」で公表されていますのでご参照ください。
技能実習3号への移行には要件がある
2027年4月1日時点で技能実習1号を行っている技能実習生は、制度開始後も技能実習2号へ移行することができます。一方、経過措置により制度開始後も技能実習3号へ移行するためには、2027年4月1日時点で技能実習2号を1年以上行っていることが必要です。
そのため、3号への移行を予定している技能実習生がいる会社では、技能実習2号を開始した時期を把握しておく必要があります。
現在技能実習生を受け入れている会社では、2027年4月1日時点で技能実習のどの段階にあるのかを把握し、その後の技能実習の継続や、技能実習修了後に特定技能へ移行するかを検討することになります。
外国人を雇用するときの労働条件
当然のことながら、外国人を雇用する場合にも、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などの労働関係法令が適用されます。
また、技能実習や特定技能については、それぞれの制度に基づいて報酬や雇用条件に関する基準が設けられています。建設会社が外国人を受け入れる場合には、在留資格だけでなく、これらの労働条件についても適切に対応する必要があります。
日本人と同等以上の報酬の支払いが必要
技能実習生については、技能実習計画の認定基準として、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められています。また、特定技能外国人についても、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上でなければなりません。
1号特定技能外国人に特有の基準
建設分野の1号特定技能外国人については、月給制によって安定的に報酬を支払うことや、技能の習熟に応じて昇給を行うことが求められています。また、雇用契約を締結するまでに、報酬額や業務内容などの重要事項について、外国人が十分に理解できる言語による書面を交付して説明する必要があります。
外国人が理解できる方法で安全衛生教育を行う
外国人労働者に安全衛生教育を行う場合には、母国語を用いる、視聴覚教材を使用するなど、本人が内容を理解できる方法で実施しなければなりません。
厚生労働省の「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」では、外国人に使用させる機械や原材料の危険性・有害性、その取扱方法などが確実に理解されるよう留意することが示されています。
また、事業場内の労働災害防止に関する標識や掲示についても、図解等を用いるなど、外国人労働者が内容を理解できる方法で行うよう努めることとされています。
外国人を採用して就労を開始するまでの手続き
外国人を採用するときに必要な在留手続きは、海外から呼び寄せる場合と、すでに日本に在留している外国人を採用する場合で異なります。
また、建設分野で1号特定技能外国人を受け入れる場合には、出入国在留管理庁への手続きに加えて、国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定が必要です。
海外から外国人を採用する場合
海外にいる外国人を日本で就労させる場合には、原則として、入国前に在留資格認定証明書交付申請を行います。
在留資格認定証明書は、外国人が日本で行おうとする活動が在留資格に該当することなどをあらかじめ審査するためのものです。交付後は、外国人本人が在外公館で査証を申請し、日本への入国手続きを進めます。
採用する外国人に任せる仕事に応じて、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」など、申請する在留資格を確定しておく必要があります。
日本国内にいる外国人を採用する場合
すでに日本に在留している外国人について、現在の在留資格とは異なる活動を行わせる場合には、在留資格変更許可申請が必要です。
例えば、技能実習を修了した外国人が特定技能1号へ移行する場合や、他の在留資格で在留している外国人を新たな就労資格で雇用する場合が該当します。
一方、第1章で説明した永住者や定住者など、就労活動に制限のない在留資格を持つ外国人については、在留資格による職種の制限を受けません。
建設特定技能受入計画と入管手続き
建設分野で1号特定技能外国人を受け入れる場合には、外国人就労管理システムを利用して、国土交通大臣へ建設特定技能受入計画の認定を申請します。
建設特定技能受入計画の認定申請と、出入国在留管理庁への在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請は、並行して進めることができます。
ただし、建設特定技能受入計画の認定証は入管手続の添付書類となるため、国土交通大臣による認定を受けなければ、出入国在留管理庁から在留資格の許可等を受けることはできません。
国土交通省の「申請の手引き、様式、システム操作方法(特定技能制度・建設分野)」では、建設特定技能受入計画の申請方法や必要書類が公表されています。
建設特定技能受入計画は、技能実習から継続して特定技能へ移行する場合には技能実習計画の修了期日の6か月前から、それ以外の場合には雇用開始日の概ね6か月前から申請できます。
国土交通省では、認定まで1か月半から2か月程度を見込んでおり、地方によってはさらに数か月かかる場合があると案内しています。なお、外国人就労管理システムを利用した受入計画の申請を代理して行うことができるのは、弁護士または行政書士等に限られています。
外国人を雇用した後の届出と在留管理
外国人を雇用した後は、外国人雇用状況の届出や、在留資格・在留期間の管理が必要です。また、特定技能外国人を受け入れている会社には、出入国在留管理庁への定期届出や随時届出の義務もあります。
外国人雇用状況の届出を行う
外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、事業主は外国人雇用状況をハローワークへ届け出なければなりません。ただし、在留資格「外交」「公用」の外国人と特別永住者はこの届出の対象外です。
雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届によって届け出ます。雇入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は離職日の翌日から10日以内が期限です。
雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書を使用し、雇入れ・離職のいずれも翌月末日までに届け出なければなりません。
特定技能では定期届出と随時届出が必要
特定技能外国人を受け入れている会社には、受入れや活動状況などについて出入国在留管理庁への定期届出が定められています。現在、定期届出は年1回で、毎年4月1日から翌年3月31日までの状況を、翌年度の4月1日から5月31日までに届け出ます。
また、雇用契約の変更や終了、受入れの継続が困難になった場合などには随時届け出なければなりません。随時届出は、原則として届出事由が生じた日などから14日以内に行うこととされています。
なお、1号特定技能外国人の支援を登録支援機関へ委託している場合でも、受入企業が行わなければならない届出があります。
また、建設分野では、出入国在留管理庁への届出とは別に国土交通省への報告があります。1号特定技能外国人の受入れを開始した場合には原則として1か月以内に受入報告を行い、雇用契約が終了した場合、2号特定技能へ移行した場合、活動の継続が困難となった場合にも報告を行います。
在留カードと就労資格を管理する
外国人を雇い入れる際には、在留カードに記載された在留資格、在留期間、就労制限の有無などを見て、就労できる範囲を把握しなければなりません。
また、雇用後は在留期間の満了日を管理するとともに、在留資格で認められた範囲を超える仕事に従事させないよう注意する必要があります。
外国人を採用する前に確認しておきたいこと
最後に、採用を検討する段階で確認しておきたい項目を整理します。
- 任せる仕事を先に決めたか
- その仕事が在留資格で認められる範囲に入っているか
- 特定技能の場合、建設業許可・CCUS・JAC・人数枠の4点を満たしているか
- 採用経路(海外から/国内から/転職)に応じた在留手続きはどれか
- 就労開始日から逆算して、受入計画の認定までの期間を確保できているか
- 雇用後の届出と在留期間の管理を誰が担当するか
このうち1つでも判断がつかない項目があれば、外国人を探し始める前に整理しておくことをおすすめします。特に受入条件は、満たしていなければ採用そのものが進みません。
外国人の採用は、建設業許可やCCUSといった建設業側の手続きと、入管への在留手続きの両方にまたがります。窓口が分かれるため、どこまでを自社で進め、どこから依頼するかを先に決めておくと準備が進めやすくなります。
当事務所では、建設業許可の取得から建設特定技能受入計画の認定申請、在留資格の申請取次までを一括してお引き受けしています。受入れ後の支援は、登録支援機関と連携してご案内します。福島県二本松市に事務所を置き、福島市・郡山市・二本松市・本宮市を中心に対応しております。




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行政書士 佐藤勇太
