
建設業許可の廃業届は、会社をやめる場合だけでなく、許可を受けた建設業の全部または一部を廃止する場合にも必要です。
常勤役員等や営業所技術者等の要件を欠いたまま放置すると法令違反となり、許可取消しや監督処分の対象になります。また、許可がなくなった後に軽微な工事を超える工事を請け負えば、無許可営業となり、今後の許可取得にも影響するおそれがあります。
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建設業許可は会社を続けながら廃業できる
建設業許可でいう「廃業」は、会社そのものを廃止することではなく、許可を受けている建設業の全部または一部を廃止する手続きです。したがって、廃業後も会社を存続させ、許可を必要としない軽微な建設工事を請け負うことができます。
ただし、今後500万円以上の工事を請け負わないと決めただけで、直ちに廃業届を提出する必要があるわけではありません。
当然のことながら、許可を維持したまま軽微な建設工事だけを行うこともできます。しかし、常勤役員等や営業所技術者等の許可要件を満たさなくなった場合には、必ずその事実を届け出なければなりません。
全部廃業と一部廃業の違い
建設業許可は29の業種に分かれているため、許可を受けているすべての業種を廃止する場合と、一部の業種だけを廃止する場合があります。
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 全部廃業 | 許可を受けている業種をすべて廃止する | 土木工事業と舗装工事業をともに廃止 |
| 一部廃業 | 一部の許可業種だけを廃止する | 土木工事業を残し、舗装工事業だけを廃止 |
例えば、土木工事業と舗装工事業の許可を受けている会社が、舗装工事業を廃止する場合には、舗装工事業だけを一部廃業することができます。この場合、土木工事業の許可は引き続き残ります。
一部廃業では関連する変更届も確認する
一部廃業では、廃業する業種に対応して、営業所技術者等が担当する許可業種にも変更が生じることがあります。その場合は、廃業届だけでなく、営業所技術者等に関する変更や削除の届出も必要です。
そのため、一部廃業をする際には、廃業する業種だけでなく、残す業種と営業所技術者等の担当状況を併せて確認する必要があります。
許可要件を欠いたまま放置するとどうなるのか
例えば、営業所技術者等が退職して後任者を置くことができなくなったものの、今後は許可が必要となる規模の工事を請け負わないという場合があります。この場合、許可を取り消されること自体によって、直ちに大きな事業上の不利益が生じるとは限りません。
また、常勤役員等や営業所技術者等の要件を欠いたことによる許可取消しだけで、一律に5年間建設業許可を取得できなくなるわけでもありません。
しかし、許可を今後利用する予定がないことと、現在の許可について必要な届出をしなくてもよいことは別の問題です。常勤役員等や営業所技術者等の許可要件を満たさなくなった場合には、2週間以内にその旨を届け出なければなりません。
したがって、「もう500万円以上の工事をしないから」という理由で、許可要件を欠いた事実について必要な届出をせずに放置すれば、建設業法上の届出義務に違反します。
福島県でも、許可要件を欠いたまま必要な手続きを行わず営業を継続した事業者について、許可を取り消した事例が公表されています。適正に廃業届を提出した場合と、法令違反を理由として監督処分を受けた場合とでは、その意味は異なります。
許可がなくなった後の受注には特に注意が必要
さらに注意が必要なのは、許可が取り消された後や有効期間が満了した後も、許可が必要となる規模の建設工事を新たに請け負う場合です。
建設業を営むには、軽微な建設工事だけを請け負う場合を除き、建設業許可を受けなければなりません。許可がない状態で軽微な建設工事の範囲を超える工事を請け負えば、無許可営業として建設業法違反になります。
無許可営業は、単に届出を忘れた場合よりも重大な違反です。建設業法違反により罰金刑を受けた場合には、建設業許可の欠格要件に該当し、その後の許可取得にも影響する可能性があります。
そのため、常勤役員等や営業所技術者等の要件を満たせなくなった場合には、「もう大きな工事は受注しないから、そのままでよい」と考えるのではなく、許可を維持するのか、全部廃業または一部廃業をするのかを早めに整理する必要があります。
届出期限は2週間以内と30日以内に分かれる
建設業許可に関する廃業や要件欠如の届出は、内容によって提出期限が異なります。特に、許可要件を欠いたことを理由に廃業する場合は、廃業届の30日以内という期限だけで判断しないよう注意が必要です。
| 届出が必要となる場面 | 提出期限 | 主な様式 |
|---|---|---|
| 常勤役員等や営業所技術者等を欠き、許可要件を満たさなくなった場合 | 2週間以内 | 届出書(様式第22号の3) |
| 許可を受けた建設業を廃止した場合 | 30日以内 | 廃業届(様式第22号の4) |
例えば、営業所技術者等が退職し、後任者を置けないため、その業種を廃業する場合には、許可要件を欠いたことについて2週間以内の届出が必要となり、併せて廃業届も提出します。
したがって、許可要件を欠いたことをきっかけに全部廃業や一部廃業をする場合は、「廃業届は30日以内」とだけ考えるのではなく、2週間以内に必要となる届出がないかを先に確認する必要があります。
廃業時に施工中の工事がある場合
廃業するときに、すでに請負契約を締結して施工中の工事が残っている場合があります。廃業によって許可が取り消されたからといって、それ以前に締結した請負契約に係る工事を直ちに中止しなければならないわけではありません。
この取扱いを定めている建設業法第29条の3には、次のように規定されています。
「許可がその効力を失う前又は当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。」
許可が取り消される前に締結した請負契約に係る工事については、施工を継続できます。ただし、許可取消し後2週間以内に、その旨を工事の注文者へ通知しなければなりません。
また、注文者には、通知を受けた日または許可がなくなったことなどを知った日から30日以内に、請負契約を解除できる仕組みがあります。施工中の工事がある場合には、廃業届だけでなく、既存の請負契約についても確認したうえで手続きを進める必要があります。
まとめ:廃業する前に残す許可業種を確認する
これから、許可が必要な規模の工事を請け負わないのであれば、会社を存続させながら建設業許可を廃業することができます。複数の許可業種がある場合には、すべてを廃業するのではなく、必要な業種だけを残す一部廃業も選択できます。
特に常勤役員等や営業所技術者等の退職が関係する場合には、後任者によって許可を維持できるのか、一部の業種だけを廃業するのか、すべての業種を廃業するのかを早めに整理する必要があります。施工中の工事があれば、その請負契約への対応も併せて確認しなければなりません。
当事務所では、二本松市、本宮市、福島市、郡山市を中心とする福島県中通り地域の建設業者から、建設業許可の変更や廃業に関するご相談、届出書の作成・提出のご依頼に対応しています。
全部廃業と一部廃業の判断や、許可要件を欠いた場合に必要となる手続きについてお困りの場合は、どうぞご相談ください。




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行政書士 佐藤勇太
