
建設工事現場から発生した廃棄物を中間処理施設や処分場まで運搬するためには、元請建設業者が「自ら運搬」する場合を除き、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。下請業者が許可なく廃棄物を運搬すると「無許可営業」とみなされます。この場合、自社だけでなく元請業者も「委託基準違反」として罰則を受けるリスクがありますのでお気をつけください。
目次
産業廃棄物収集運搬業の許可はすぐにとれるのか
「急ぎで収集運搬業の許可をとりたい」というお問い合わせをいただいた際、私たち行政書士が真っ先にお聞きするのは、「講習会の修了証を有しているか、あるいは予約済みか」という点です。
講習会の修了証がすでに手元にある場合、その後の書類作成や申請手続きは比較的短期間で進めることが可能です。しかし、未受講の状態からスタートする場合、許可取得までに予想以上の時間がかかるケースが少なくありません。
産業廃棄物の処理に関する許可を申請するためには、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会を受講し、修了試験に合格しなければなりません。
この講習会については、以下の点に注意が必要です。
- 開催頻度の低さ: 福島県内では年1回程度しか開催されません。
- 予約の難しさ: 近隣の都道府県で受講しようと思っても、定員がすぐに埋まってしまうことがしばしばです。タイミングが合わなければ、受講まで数か月待たなければならないこともあります。
- 「オンライン+対面試験」の仕組み: 現在、講義自体はオンラインでどこからでも受講可能ですが、最後の「修了試験」については指定の会場まで足を運ぶ必要があります。 試験会場の座席数には限りがあるため、予約は文字どおり「早い者勝ち」です。
「一日も早く許可を取りたい」とお考えであれば、全国どこの会場でも構わないので、直近で空きがある講習会に申し込むことが重要です。
この講習会は、全国どこで受講・合格しても、福島県知事への許可申請に有効な修了証として使用できます。「地元の福島で開催されるのを待つ」のではなく、隣県や他県まで視野に入れて予約を確保することが、許可取得への一番の近道となります。
当事務所では、講習会の予約状況に合わせたスケジューリングや、受講と並行した書類作成のサポートを行っております。「何から手をつければいいか分からない」という方は、まずは一度ご相談ください。
隣接する都道府県で「積み降ろし」をする場合の注意点
ところで、建設業者様からよくいただくご質問に、「福島県の許可を持っていれば、隣の宮城県や栃木県の工事現場の廃棄物も運べるのか」というものがあります。結論からいえば、産業廃棄物の収集運搬業許可は、「廃棄物を積み込む場所」と「廃棄物を降ろす場所」の両方の自治体(都道府県または中核市)の許可が必要です。
例えば、福島県内の建設工事現場から出た廃棄物を、宮城県内の中間処理施設まで運搬する場合を考えてみましょう。
- 積み込み地 : 福島県(福島県知事の許可が必要)
- 荷降ろし地 : 宮城県(宮城県知事の許可が必要)
この場合、福島県と宮城県、両方の許可証を持っていなければなりません。たとえ福島県内で適正に積み込んだとしても、宮城県の許可を持たずに県境を越えて処分場へ搬入することは「無許可営業」となります。
一方で、福島県で積み込み、宮城県を「通過して」、岩手県の処分場へ運ぶ場合、宮城県の許可は不要です。あくまで「積み込み(排出場所)」と「荷降ろし(処分場所)」の自治体の許可があれば事足ります。
当事務所では、福島県の許可はもちろん、他のすべての都道府県に対する許可申請手続きに対応しています。下請として県外の工事を受注する建設業者の皆様で、収集運搬業の許可をお考えの方はどうぞご相談ください。
福島市・郡山市・いわき市で許可申請をする際の注意点
福島県内で産業廃棄物の収集運搬業を行う場合、もうひとつ注意しなければならないのが、「中核市」の存在です。福島県内には、独自の許可権限を持つ福島市・郡山市・いわき市の3つの中核市があります。これらの地域が関係する際は、以下のルールに従います。
各中核市の許可が必要なケース
以下のいずれかに該当する場合は、福島県知事ではなく、各市長に対する許可申請が必要です。
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それぞれの中核市が管轄する地域内でのみ産業廃棄物の収集運搬業を行おうとする場合
例えば、福島市内のみで事業を行う場合には福島市長の許可が必要という意味ですが、知事の許可をとればこれを兼ねることができますので、一般的ではありません。
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それぞれの中核市が管轄する地域内で、産業廃棄物の積替え保管行為を行う場合
「積替え保管」とは、排出事業者の工事現場などから収集した廃棄物を、処分場へ運ぶ途中で一旦自社の保管倉庫などに降ろし、別の車両に積み替えたり、一定量が溜まるまで一時的に保管したりすることです。効率的な運搬が可能になりますが、環境に与える負荷が高まるため、厳しい審査基準が設定されています。
福島県知事の許可で足りるケース
中核市を含め、福島県内の複数の市町村をまたいで運搬を行う(積替え保管なし)場合は、福島県知事の許可があれば、これらの中核市の区域内であっても収集運搬を行うことが可能です。
産業廃棄物収集運搬業の許可の要件について解説
収集運搬業の許可を申請するにあたっては、自社が許可の要件(基準)を満たしているかを確認したうえで、法令で求められている申請書類を作成するとともに、必要とされる添付書類を収集することになります。ここでは、許可の要件について解説します。
運搬施設(車両・容器)に関する要件
施設という言葉を聞くと、皆様は「建物」を思い浮かべるかもしれません。しかし、廃棄物処理法でいう施設とは、収集運搬に用いる車両や容器、そして中間処理における機械設備のことを指します。
収集運搬業の許可を得るためには、産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有することが必要です。
建設業で最も一般的に使用されるのはダンプ車や平ボディ車ですが、単に「車がある」だけでは不十分です。がれき類や廃プラスチック類を運ぶ場合、走行中に荷物が飛び散らないよう、荷台を覆う「飛散防止用シート」が必須です。
また、車両に直接積み込めないものや、流出の恐れがある品目を運ぶ場合には、適切な容器が必要です。木くずや紙くずなどの軽量物を運ぶ場合、フレキシブルコンテナバック(フレコン)を準備するのが一般的です。
建設業者の皆様がまず準備すべきは、「有効な車検証がある車両」と、その荷台を完全に覆える「丈夫なシート」、そして「フレコンバッグ」です。これらを揃えた上で、「この車両とこのシート(容器)を使って、この品目を安全に運びます」と事業計画書に記載します。そうすることで、基準を満たすことができます。
知識及び技能に関する要件
収集運搬業の許可を得るためには、産業廃棄物の収集または運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有することが必要とされています。この要件をクリアするためには、JWセンターが実施する講習会(「産業廃棄物の収集・運搬課程」)を受講し、修了試験に合格することが必要です。
講習会は、会社の役員または政令で定める使用人(事業所における業務全般を統括し、契約締結や業務執行の権限を委譲された実質的な責任者)が受講する必要があり、一般の従業員が受講しても許可の要件を満たしません。
講習会の試験合格後に発行される修了証には有効期限があります。新規の許可申請の場合、終了の日から5年以内のものでなければなりません。
経理的基礎に関する要件
収集運搬業の許可を受けるにあたっては、産業廃棄物の収集または運搬を的確に、かつ、継続的に行うに足りる経理的基礎を有することが要件となっています。事業を途中で投げ出すことなく、安定して続けられる財産的な余裕があるかどうかが決算書類によって審査されます。
一定の資産があり、利益がきちんと出ているかが審査されるわけですが、債務超過や赤字決算になっていると許可が出ないというわけではありません。この場合、「今後5年間で経営状況を改善できる」という内容の専門家による経営診断書があれば、経理的基礎があると判断されます。
会社の経営状況が悪いと「受け入れた廃棄物の処理にお金をかけたくない」という心理が働きます。これは不法投棄などの不適切な行為につながるものなので、この要件が設けられているといえます。
なお、福島県の場合、経営診断書の作成ができる専門家は、中小企業診断士または公認会計士と限定されています。当事務所は中小企業診断士のご紹介が可能です。どうぞお問い合わせください。
欠格要件に該当しないこと
産業廃棄物収集運搬業の許可には、廃棄物処理法により、不適切な人物や反社会的勢力の関与を徹底的に排除するための欠格要件が定められています。
これは非常に厳しい規定で、申請者(法人・個人)だけでなく、役員や一定以上の株主、さらには現場責任者(政令使用人)のうち、一人でも以下の要件に該当する者がいれば、行政は許可を出してはならず、許可後に該当した場合は必ず取り消さなければなりません。
- 拘禁刑(旧:懲役・禁錮刑)に処せられ、その執行が終わってから、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 廃棄物処理法、浄化槽法、環境関連法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、または刑法の特定の罪により、罰金刑を受け、5年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者。また、暴力団員等が事業活動を実質的に支配している場合
- 過去に産廃処理業等の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 精神の機能の障害により、廃棄物の処理の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
注意しなければならないのは、建設業許可の欠格要件よりも「役員」の範囲が広いことです。意図せずとも役員などの一人が過去の法令違反などで欠格要件に該当していた場合、会社全体の許可が受けられなくなるため、事前の慎重な確認が不可欠です。
建設業者が許可をとるべき産業廃棄物の品目
ところで、産業廃棄物収集運搬業の許可は、取り扱う廃棄物の品目(種類)を指定して取得することになり、許可を取った品目以外の廃棄物を運搬することができません。法令上、産業廃棄物は20種類に分類されますが、全部の許可を取ろうとすると、すべての廃棄物に対応する車両や容器を揃えなければならないため、現実的ではありません。
それでは、建設業者様が収集運搬業の許可を取ろうとする場合、どの品目を指定して許可申請をすればよいのでしょうか。建設工事現場から排出されるものとして、一般に「建設系産業廃棄物(建廃)」と呼ばれているものは、代表的には以下の8種類です。
「廃プラスチック類」、「紙くず」、「木くず」、「繊維くず」、「ゴムくず」、「金属くず」、「ガラスくず及び陶磁器くず」、「がれき類」
また、これらの品目を受け入れている処理施設や処分場を探しておくことが求められます。収集運搬業の許可申請書には、「予定搬出先業者の許可証」の写しを添付しなければならないからです。もっとも、工事現場の場所によって、運搬先が異なることもあるかと思います。この場合、すべての運搬先の許可証を添付する必要はありません。
収集運搬業の許可申請は自分でできるのか
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、決して「自分ではできない手続き」ではありません。事務スタッフに余裕があり、社長自ら動く時間があるならば、福島県の「手引き」を参考に自力で挑戦するのもよいでしょう。役所に質問すれば、聞いたことに対しては丁寧に回答してくれるはずです。ただし、時間というのは無限にあるものではありません。
クライアント様からのお話を伺うと、元請業者から急ぎで許可の取得を求められるケースは少なくないようです。しかし、実際の手続きでは、申請書類に不備があれば、補正のために平日に何度でも役所に出向くことも想定されます。そこで、業務に精通した行政書士に依頼すれば、そうした時間のロスを大幅に減らすことが可能です。
現場の施工管理や営業など、「本来の建設業務に集中したい」というお考えがあるならば、外注コストを「確実性と時間を買うための投資」と捉えるのが合理的です。小難しい法令解釈や面倒な事務をプロに任せることで、本業に集中しながらコンプライアンス体制を整えられます。
当事務所に許可申請を依頼するメリット
当事務所では、建設業に従事する皆様が、現場での施工管理や営業といった本業により集中できるよう、「速さ」「専門性」「管理」の3つの柱で、付加価値の高いサポートを提供しています。
最短7日間でのスピード申請対応
「急ぎで現場に入る必要がある」「元請から早急に許可を求められた」といった一刻を争うケースにも、最短7日間で申請準備を完了させる体制を整えています。不慣れな方が陥りやすい写真の不備や書類の差し戻しをゼロにし、最短ルートで受理まで導きます。
廃棄物処理法に関する深い専門性
当事務所は収集運搬の許可だけでなく、より高度な「中間処理施設の設置許可」などの業務も手掛けており、廃棄物処理法に精通しています。現場で判断に迷いやすいアスベスト含有廃棄物の区分など、実務上の疑問についても、法令の根拠に基づいた的確な助言をすることができます。
建設業許可と産廃許可の一元管理
有効期限や届出ルールが異なる「建設業許可」と「産廃許可」を一括して管理することが可能です。毎年の決算報告に合わせた変更届の提出や、5年ごとの更新時期のリマインドを当事務所が行うことで、知らない間の「許可失効」や「無許可営業」という経営リスクを防止します。
当事務所のサービス料金(報酬額・費用)
当事務所では、建設業者様の状況に合わせてお選びいただける2つの料金プランを用意しております。福島県外(宮城県や栃木県など)への同時申請をご希望の場合、2自治体目以降の報酬は20%割引しています。
| プラン名 | 報酬(税込) | 特徴・こんな方におすすめ |
|---|---|---|
| 通常プラン | 99,000円 | スケジュールに余裕があり、確実に許可を取得したい方 |
| 特急プラン | 132,000円 | 直近で現場が決まっているなど、「申請準備」を極限まで早めたい方 |
※上記のほかに、申請手数料として別途81,000円、証明書類取得手数料1通につき1,100円が加算されます。遠方に出張する必要がある場合には、交通費をいただくことがあります。
※いずれのプランにおいても、申請書類が受理された後、福島県知事による審査期間(標準処理期間)として40日程度(土日祝日を除く)の時間がかかります。 これは行政側の手続きであり、特急プランであっても短縮することはできません。
お問い合わせから許可取得までの流れ
お問い合わせから許可証の交付まで、以下のステップで着実に進めてまいります。
1.相談・要件の事前診断
面談またはお電話より現在の状況をヒアリングし、許可をとれるかどうかを診断します。最初に「講習会の修了証」と運搬車両の「車検証」、直近3年間の「決算書」を確認しますのでご準備ください。主な元請業者と予定している運搬先についてもお聞きすることになります。
2.ご契約と書類収集の開始
正式にご契約後、当事務所が職権で公的書類を代行取得いたします。お客様にご準備いただくのは、車検証の写しや車両写真、講習会の修了証など、最小限の資料のみです。現場作業の手を止めることなく、事務負担を大幅に軽減していただけます。
3.申請書類の作成(当事務所の作業)
収集した資料とヒアリングの内容に基づき、当事務所で申請書類一式を作成します。過去の申請経験で得たノウハウを活かし、できる限り補正が生じないよう書類を整えます。クライアント様の個別の事情をメール等でお尋ねする場合がありますので、ご協力お願いいたします
4.行政窓口への代理申請
完成した書類を携え、当事務所が管轄の窓口へ直接出向き、申請手続きを代行いたします。福島県は事前予約制ですが、予約調整から窓口での審査対応まで、すべて当事務所が引き受けます。複数自治体への同時申請の場合も、並行して手続きを進めます。報酬と費用については、役所窓口への申請までにお支払いいただきます。
5.行政の事務処理と許可証の交付
申請が受理された後は、福島県知事による審査と事務処理が行われます。福島県の場合、許可に係る標準処理期間は40日(行政機関の休日を除く。)です。なお、この期間中の役所からの確認対応もすべて当事務所が窓口となります。許可証は当事務所が受領し、速やかにクライアント様に納品します。
最後に、行政書士からのアドバイス
産業廃棄物収集運搬業の許可申請書が受理されると、行政機関(福島県の職員)による現地調査が実施されます。新規の許可申請の際は、注意点などの案内があるにとどまりますが、更新申請後の現地調査では、「委託契約書」、「マニフェスト」、「帳簿」が適切に管理されているかが確認されます。
建設業者の皆様は、適切な許可を得て産業廃棄物を運搬することはもちろん、許可後の適法な事業運営についても気をつけていかなければなりません。私は、迅速な許可の取得とその後のサポートをとおして、皆様の適正な廃棄物処理を支える役割を果たしていきたいと考えています。





事務所横に1台分の駐車場をご用意しております。
行政書士 佐藤勇太